新人の教育係になって以来、後輩とばかりペアを組んでいた順平。
今日は久しぶりに先輩方と組んでゲーム練習をすることになった。
そんな順平に、サーブリターンの達人ミチルは・・・
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ダブルスが強いペアが試合前にしていること
指導していた後輩から、今日は風邪で休むという連絡が入った。
後輩の指導ばかりで、なかなか自分の練習に時間を取れていない順平。
不謹慎かもしれないが、ガッツポーズを取ってしまう。
今日は指導のことを忘れて、思い切り練習できると思うと胸が高鳴る。
（さて、誰に声をかけようかな・・・）
ゲーム練習のパートナーを探して、周囲を見回す順平。
だが、こんな時に限って仲の良い先輩はすでに相手が決まっていた。
そんな順平に、声をかけてきたはサーブリターンの達人ミチルだった。
「何？組む相手がいないの？だったらしょうがないから私が組んであげるわ。」
順平の気持ちは複雑だった。
ミチルはサーブリターンも一流だが、毒舌は超一流。
不甲斐ないプレーをすれば何を言われるかわかったものではない。
そんな順平の気持ちを見抜いたのか、ミチルは言った。
「わかってるでしょうね。下手こいたらただじゃおかないわよ。」
久しぶりにミチルとプレーする順平。
彼女の毒舌が怖くて、本番の試合より緊張してしまう。
（しっかりしなければ！）
順平のサーブリターンでゲームは始まった。
良いところを見せようと気合いを入れて構えを取った。
しかし、相手サーバーは自分の苦手なクロスサーブが得意な先輩。
うまく返せず、きついコースに打ち込まれるシーンが続く。
順平は後ろで舌打ちをするミチルに必死で訴えた
「すみません！次はちゃんと取りますから！！気合いで死んでも取りますから！！」
だが、気合いで何とかなるほどバドミントンは甘くはない。
厳しいコースを突かれ、甘い返球になってしまう。
（やばい！また打ち込まれる！！）
順平は失点を覚悟した。
しかし、相手が打ち込んだ先にはミチルがいた。
崩れた体勢を立て直すのに十分な時間を稼げる的確な返球。
おかげで嫌な流れを断ち切ることができた。
ゲームが終わって、ストレッチをしているミチルに恐る恐る声をかける順平。
「あのぉ、ミチルさん。」
「何？」
「今日は、フォローしてくれて・・・ありがとうございました。」
ふがいないサーブリターンを罵倒されると思っていた順平。
だが、ミチルは怒ってはいなかった。
「あんたが下手クソなことなんて、最初からわかってるわよ。」
「・・・うぅ、言葉もございません。」
「苦手なことがあるなら最初から言いなさい。そのためのダブルスでしょ？」
ポイント
思うようなプレーができないとき「次は気合いで何とかします！」と、意気込む初心者プレーヤーをよく目にします。
しかし、気合いで何とかなるほどバドミントンは甘くはありません。
ましてや、本番の試合の中でそれを克服するなんて不可能です。
欠点のないプレーヤーなんていません。
しかし、シングルスならばまだしも、ダブルスは2人でやるもの。
お互いがうまくいかないことをすりあわせておけば、道は開けるものです。
ダブルスで勝てるペアは、お互いができること・できないことを明確にして戦略を組みます。
できないことはできないと、はっきり言えるペアこそが、良いペアの条件なのです。
見栄をはらず、お互いの身の丈にあったプレーができるよう、情報共有のできる関係を築きましょう。
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