信頼度を上げる教え子の褒め方とは?

練習

スポーツで、そしてビジネスで、個人のモチベーションアップのために『褒めること』の効果が取り上げられています。

ただ、日本人は素直に褒めること、褒められることが苦手なのだそうです。

これには「勤勉さ」「謙虚さ」「清貧さ」を良しとする国民性が影響しているのだとか。

では、褒めてモチベーションを上げるのは無理なのでしょうか・・・。

その答えは・・・ストーリーをご覧ください。

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日が落ちるのが早くなって、運動部も帰宅時間が早くなった。

そんな数ある運動部の中でも、とりわけ練習熱心なのがバドミントン部。

今日も密度の濃い練習が繰り広げられている。


少し遅れて体育館に入った岡崎は、あることに気づいた。

バドミントン部 部長の岸田の元気がないのだ。


「おいおい、どうした岸田?部長がそれじゃ、後輩たちも不安に思うぞ。」

「あ、先生。」


「中川の良い部分を褒めてやろうと思ってるんですけど、どうも効果がないみたいで・・・。」

「へぇ、たとえば?」

「『お前は面倒見が良くて信頼されてるな』、とか『毎日がんばってるな』とかです。」

「なるほど、だいたいどれくらい褒めてる?」

「自信がなさそうだな、と思ったら褒めることにしています。」


それを黙って聞いていた岡崎は、静かに話を切り出した。


「お前さ、『褒める』と『おだてる』の違い分かるか?」

「・・・いいえ、わかりません。」

「『おだてる』は、相手に何かをさせるために褒めることだ。わかるか?」

「はい。」

「お前は中川のモチベーションを上げるために褒めてる。それって『おだて』だよな。」

「・・・そうですね。」

「そういうのは絶対伝わるんだ。信頼している相手からそんなことされたら、お前はどう思う?」

「・・・」


自分のしたことの意味がわかり、絶句してしまう岸田。

岡崎は話を続けた。


「おいおい、そんなに落ち込むことないだろう?」

「・・・俺、中川に悪いことをしてしまいました。あいつに正直に話します。」

「そうか。」

「でも、褒めたこと自体は嘘じゃないから、それはきちんと伝えたいと思います。」


それを聞いた岡崎は満足そうにうなずいた。


「相手のことをきちんと考えて、それを行動に移すところがお前の良いところだな。お前が部長で本当に良かったよ。」

ポイント

一昔前までは、

『叱るときはできる限り具体的に。褒めるときは相手の人間性を丸ごと褒める。』


というのが常識でした。


しかし、謙虚な人にとっては逆効果。

人間性そのものを褒められるというのは、恥ずかしさやプレッシャーを感じてしまうからです。


また、なにがなんでも褒めようとするのも、社交辞令という印象を与えてしまうことにつながってしまいます。


褒められて本当にうれしいことを、ふさわしいタイミングで、心から褒めるということは、

『あの人はいつも自分のことを見ていてくれる、認めてくれている』という指導者としての信頼につながります。


それができるかどうかは、指導者であるあなたが、ひとりひとりの教え子と正面から向き合えているかにかかっています。

あなたは、どれだけ教え子達たちに関心を向けていますか?


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