教え子に指導を受け入れさせる準備とは?

指導

指導者の本業は、当然、指導です。

自分の指導で、プレーヤーが伸びてくれたら、こんなにうれしいことはありませんよね。

でも、もし逆だったら・・・

それは、指導の内容とは別のところに原因があるのかも知れません。

それではストーリーをどうぞ。

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岡崎は目をこすった。

もともと、ドライアイだというのもあるが、この季節は、ただでさえ乾燥しているのに、暖房がさらに追い打ちをかける。

そして、今日何度目かの目薬をさそうと、引き出しに手を伸ばしかけたそのとき、職員室にノックの音が響いた。


立っていたのは、バドミントン部の上条だった。

少し気の弱いところはあるが、面倒見がよく、1年達にも慕われている。


「先生、ちょっと相談があるんですけど。」


話を聞くと、自分がアドバイスをすればするほど、1年が下手になっていくそうだ。


「考えすぎだろ?」

「いや、ドンドンぎこちなくなっていってます。」


岡崎は、目薬をさした。

強烈な刺激が両目を突き刺す。


「もし後輩を伸ばせる指導ができれば、バドミントン部での株も上がるな。」

「はい、そうですね。」

「ちゃんと指導できるってことは、自分がきちんと理解してるってことだ。自分の実力アップにもつながるな。」

「はい、そう思います。」

「そうなりたいか?」

「はい、もちろんです。」


上条の返事を聞いた岡崎はニヤリとした。

ポンと肩を叩く。


「そういうことだ。」

「はい!?」


唖然とする上条に目線を送ると、目に残った目薬を拭くために、ティッシュに手を伸ばす岡崎であった。

ポイント

今回のポイントはズバリ

「相手が望んでいないアドバイスは、するだけムダ」

ということです。


たとえ今、目の前にうまくいっていないプレーヤーがいたとしても、彼がアドバイスを必要としているかどうかは別の話です。

彼は彼なりに問題点に気づき、自分なりの修正を試みているのかもしれません。

もしかしたら、問題そのものにすら気づいていないのかもしれません。

いずれにせよ、この状態でアドバイスをしても、受け入れられるはずは・・・ありませんよね。


だから、まずはアドバイスを受け取る準備をさせるのがファーストステップ。

岡崎先生は、上条君に問題を解決するメリットを提示することで、アドバイスに必要性を作っています。


また、本編では書かれていませんが、アドバイスが終わったら、それをどんな形で活かしていくか聞いてみるのも有効です。

こうすれば、他人からのアドバイスでも、自分の選択した手段としてインプットされます。

人から押し付けられたものより、自分で選んだものの方が、当然、効果は上がりやすくなるわけです。


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