教え子の反応をどう捉えるべきか?

指導者

教え子たちの自主性を伸ばすために「命令」ではなく「質問」を心がけている指導者の方は多いと思います。

でも、質問をしても、望ましい答えが返ってこなかったり、その時はやると言ったのにやらない、ということはないでしょうか。

質問は、相手になにかを考えさせるのに有効な手段のひとつです。

しかし、その目的を間違えると、ただのインタビューになってしまいます。

では、どうすればいいのでしょうか。

その答えは・・・ストーリーをどうぞ。

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北海道では、もう雪が降っているそうだ。

11月に入り、大阪でも肌寒い日が多くなってきた。

そんなある日、職員室でコーヒータイムを楽しんでいる岡崎を訪ねてきた生徒がいた。

バドミントン部 部長の中川だ。


「おう、中川。調子はどうだ?」

「はい、順調です。」

「それはよかったな。」

「ただ・・・」


中川は、バドミントン部の後輩たちとのコミュニケーションに悩んでいた。


『「命令」ではなく、「質問」をした方がいい』


という先輩からのアドバイスに取り組んでいるのだが、答えが返ってこなかったり、やると言っていたのにやらなかったり、ということが多いのだ。


「俺、何か間違っているんでしょうか?」


普段は暑苦しいくらい元気な中川が、珍しく落ち込んでいる。

1年生の時は、手の付けられない問題児だったのに、今は後輩のことを真剣に考えている。

中川の成長を見て、岡崎はうれしくなった。


「いや、お前のやってることは間違っていないと思うぞ。」

「でも、何も答えてくれなかったり、やると言ったのにやってくれないんですよ。」

「それは間違っているな。」

「えっ?」


間違っていないのに、間違っている。

矛盾した発言にとまどう中川をよそに、岡崎の話は続く。


「命令ではなく質問っていうアプローチは間違ってないさ。でも、その後が問題だな。」

「その後?」

「相手が答えないのも、答えたとしてもやらないっていうのも、相手が納得していないことを示す重要な要素だ。」

「はぁ・・・」

「つまり、どっちも立派な『答え』なんだよ。」


今ひとつ納得できていない中川。

岡崎はさらに話を続ける。


「お前は『悪い答えを引き出す』ことができた。これは前進だ。問題を解決するのはその次のステップだ。」

「・・・」

「反応に良いも悪いもない。反応はすべてゴールではなくスタートラインなんだ。」

ポイント

質問は、相手になにかを考えさせる有効な手段です。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみて下さい。

指導者が教え子にする質問の目的は、相手から自分にとって望ましい答えを引き出すことではありません。

相手の思考を整理するためのきっかけを与え、そこから力を引き出すことです。


本編で岡崎先生も言っていますが、相手の反応はゴールではなくスタートラインです。

その反応が悪くても、そこに一喜一憂せず、スタートと捉えて次のステップを意識する。

指導者としての重要な資質のひとつです。


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