チームの扱い チームメイトの扱い

チーム

当たり前の話ですが、ひとりひとりの人間が集まり、ひとつの目的に向けて協力しあう団体がチームです。

メンバーの全員が、いつでも心をひとつにできていれば、言うことはありませんよね。

でも、そうはならないときもしばしば。

性格も事情も違う他人が集まるのですから、すれ違いが起こるのは当然です。

そんなとき、指導者が取るべきスタンスとは・・・

ストーリーをどうぞ。

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今日は部活も休みだ。

仕事を片付けた岡崎は、職員室の窓から夕日を見ていた。

最近、すっかり日が長くなったなぁ。


そんなことを考えていると、ドアがノックされた。

ひとりの少年が入ってくる。

バドミントン部の副部長、三橋である。


「先生。」

「三橋か。どうした?」

「先生、実はちょっと相談が...。」

「そうか。まあ座れよ。」


副部長になってから、部長の岸田と一緒にバドミントン部を切り盛りしている。

そして困ったことがあると、岡崎に相談にくるのだ。


「で、どうした?」

「はい。2年の山本のことなんですけど、あいつのわがままで大変なんです。」

「へぇ、そりゃあ大変だな。」

「部員たちも、山本が練習にくると雰囲気が悪くなるって言い出すし、もうどうしたらいいか・・・。」

「で、どうしようとしているんだ?」

「はい。岸田とふたりでいろいろ考えたけど、やっぱり悪いのはあいつだと思います。」

「うん、それで?」

「だから、部の雰囲気が悪くなるし、わがまま言うなって言うつもりです。」


(うーん。)

岡崎は心の中でつぶやいた。

そして質問を始める。


「お前が山本だったらそう言われてどう思う?」

「良い気分はしないです。」

「本当にそれだけか?」


岡崎はじっと三橋の目を見つめた。

そして同じ質問を繰り返す。


「本当にそれだけなのか?」

「・・・部員全員で俺を責めているっていうか。ものすごい孤独感を感じます。」

「お前も岸田も、部員のみんなも、山本をそこまで追いつめるのが望みなのか?それで何が解決するんだ?」

「・・・先生、俺、とんでもないことをするところでした。」


うん。

かなり伝わってきたみたいだな。


「じゃあさ。『自分は山本ともっと楽しく部活をやりたいと思っている。だから、こういうところを直して欲しい』って言われたどうだ?」

「そうですね・・・。さっきとは全然違います。」


うなづく三橋を見て、岡崎は言った。


「いろんな個性を持ったメンバーが1カ所に集まっているんだから衝突は起こるさ。」

「はい。」

「そういうとき、『部の総意』を出せばカンタンかもしれないけど、それだけは使っちゃダメだ。」

「部の・・・総意・・・」

「たとえどんな結果になるとしても、一対一の対等な話をしないとな。」

ポイント

いかがですか?

確かに問題が起こったら、それに対して適切な処置をすることは大切なことです。

場合によっては、チーム全体を優先した判断をしなければいけないこともあります。

しかしここで大切なのは、判断自体の正しさではありません。


本当に大切なのは、どんな話をするとしても、チームとしてではなく、対等な立場であなたがどう思っているのかを伝えることです。


あなたはなぜその人に行動を改めて欲しいのでしょうか。

ただ、チームのメンバーから言われたからですか?

それとも、あなたがその人を心から心配しているからですか?


チームという目に見えないものからの言葉と、あなた自身の言葉。

どちらの方が相手に伝わるでしょうか。


運命共同体であるチームを前に進めるのは、本当に難しいことです。

そんなときは、チームがひとりひとりのメンバーからできている、という当たり前だけど大切なことを思い出してください。

きっと光が見えてきます。


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