前向きに受け止められる不満の伝え方

練習

どんなに優れた指導者だって人の子です。

教え子に対してなんの不満もない、なんてことはあり得ません。


もし、我慢しているとしたら今すぐやめてください。

不満は、押さえ込んでも決してなくなることはありません。

そして、いつの日か爆発してそれまで築いた信頼を粉々に打ち砕くのです。


あなたは今、自分の不満とどう付き合っていますか?

それではストーリーをどうぞ。

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少し暑さを感じる5月の中盤。

バドミントン部員たちは、全員ゴールデンウィークを返上して練習に明け暮れていた。


ところが、誰もが張り切って練習をしている中、1人暗い影を背負っている部員がいる。

バドミントン部 副部長の三橋である。

異変を感じた岡崎が声をかける。


「三橋、体調でも悪いのか?」

「・・・いえ・・・大丈夫です。」


明らかに大丈夫じゃない返事を聞いた岡崎は、三橋を体育館の外に引っ張り出した。

最初は口を閉ざしていた三橋だったが、岡崎の問いかけにポツリポツリと本音を打ち明けた。


「この前、1年の山下にちょっと注意をしたんですけど・・・」

「うん、それで?」

「でも反発されて、つい怒鳴り返してしまったんです。」

「へぇ、三橋が怒るなんて珍しいな。」

「それっきり、山下とは話ができないままだし。俺、どうした良いんでしょうか?」


2人の間に気まずい沈黙が流れる。

そんな沈黙を振り払うように、岡崎は口を開いた。


「三橋は副部長なのに、何でしっかり注意ができないのかねぇ。」

「えっ!?」

「結構きついだろ?」

「は、はい。かなり。」


三橋は、この世の終わりを見たような表情をした。

それがあまりにおかしくて、岡崎は笑った。


「じゃあいい直そうか?副部長なんだから三橋にはもっとしっかりと注意して欲しい。」


三橋の表情が少しだけ和らいだ。

それを見た岡崎は会話を続けた。


「どうだ?」

「うーん、同じことをいわれているのに、嫌な感じがしないです。」

「不満っていうのは相手を責めることだからな。でも要望だったら、とりあえず聞く気にはなるだろ?」

「たしかに。」

「誰だって責められるのは嫌なものさ。だったらまずは、話を聞く気になってもらわなきゃな。」


いつもながら鮮やかな岡崎の指導に、ただただ頷く三橋であった。

ポイント

不満というのは、そのままでは非難になってしまいます。

でも、ほんの少しだけ形を変えれば、要望として相手に届きます。


また、不満を要望として伝えると相手は自分で、『やる』、『やらない』の選択することができます。

当然、上から押しつけられたものと、自分で選択したものでは、その後のやる気に大きな差が出てきます。


教え子がその要望を拒否したとしても、慌てる必要はありません。

そんな時は「じゃあどうする?」と質問すれば良いのです。


分かりますか?

不満は、口に出しただけではただの不満です。

相手に伝わる形で発することで、初めて相手を行動させるための第1歩となるのです。


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