攻撃の幅を広げようとクロスヘアピンの習得に取り組む順平。
だが、なかなか思うようにいかない。
それを見かねた前衛マエストロ元木は・・・
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攻撃の幅を広げようとクロスヘアピンの習得に取り組む順平。
だが、なかなか思うようにいかない。
それを見かねた前衛マエストロ元木は・・・
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「おい順平。これじゃバドミントンにならねえよ。やるなら個人練習でやってくれ!」
今日何本目かのクロスヘアピンは、ネットに引っかかり無情にも自分のコートに戻ってきてしまった。
首をひねる順平。
先輩からのお叱りはもっともだが、個人の練習ではそこそこ決まっている。
だからこそ、実戦で慣れるため積極的に使っているのだが・・・
本日2回目のゲーム練習。
懲りずにクロスヘアピンにトライする順平。
「あららら、またダメか~。」
「全然ダメだよ順平君。もう1回ゼロからやり直したほうが早いんじゃない?」
このショットを身につけるために、かなりの練習をしている。
それをゼロからやり直すのは・・・正直悲しい。
だが、バドミントンは結果が全てだ。
できていないのだから、やり直すしかない。
ため息をつきながらも、そう決心した。
今日は参加メンバーが少ない。
そのせいもあって、いつもなら2回のゲーム練習が3回になった。
3回目の相手は・・・前衛マエストロ元木のペア。
クロスヘアピンを封印してのぞんだゲームは、終始、元木ペアのリードで進んだ。
やがてインターバルがやってきた。
コートを挟んで元木が話しかけてくる。
「よう、順平。さっきまでやってたクロスヘアピンは使わないのか?」
痛いところを突かれて、唇をゆがめる順平。
隠しても仕方ないと、正直に答えた。
「あれはまだまだ使えるレベルじゃないので。またゼロからやり直します。」
それを聞いた元木は、少し首をかしげた。
「もったいないなぁ。1ヶ所直せば良いところまできてるのに。ま、お前がそういうんならしょうがないか。」
思いがけないことを言われ、驚く順平。
インターバルが終わっているにも関わらず、慌てて聞き直した。
「ちょ、ちょっと待ってください!1ヶ所直せば直るんですか?僕のクロスヘアピン。」
「おう。お前クロスで返そうって意識が強すぎて、手首を返しすぎるんだよ。」
「そ、そういえば・・・」
「その結果コントロールが乱れる。手首ばっかり意識してるから肩に力が入りすぎる・・・悪循環だな。」
そのアドバイスを受けて、さっそく再チャレンジした順平。
シャトルは相手前衛の意表を突く角度で飛び、コートに落ちた。
完全にコツを掴んだ順平。
クロスとストレート、2種類のヘアピンで相手に的を絞らせない見事な攻撃で得点を重ねていく。
結局4点のビハインドを跳ね返し、逆転勝利を収めた。
「・・・余計なこと、教えなきゃ良かったかも。」
まさかの逆転負けに、一人コートでそうつぶやく元木であった。
ポイント
ショットの矯正でまずやること。
それは、「うまくいっていない【一番の】原因を見つけること」です。
うまくいかないプレーがあると、とにかく基本の基本まで戻って、やり直そうとする人をよく見ます。
確かに、問題をゼロに戻せばサッパリしますから、新しい気持ちで課題に取り組めます。
しかし実際は、
● コースは良いのに高さが足りない
● 球威はあるしコントロールも良いのに、狙いどころや使いどころが間違っている
というように、1ヶ所抜けているだけ=1ヶ所直せばうまくいくというパターンが意外に多いものです。
ここから目を背けて、何でも一括りに「一から出直し」では、思わぬ遠回りをすることになってしまいます。
しかも、本当の原因がわかっていないわけですから、ある程度まで進んだところで同じ問題につまづくことにもなりかねません。
「うまくいかないな」と思ったときは、問題の本質を見極めましょう。
やり直すのはそれからでも遅くはありません。
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