ダブルスの強い人だけが知っていること

ダブルス

仕事が忙しく、2週間ぶりに練習に顔を出した順平は、自分がいない間に新人が入ったことを知らされる。

運動経験が全くないという彼女に、まずはダブルスをすすめる順平。

だが、そのアドバイスに優子は・・・

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立て込んでいた仕事にようやく区切りがついた順平。

体育館の空気を吸うと、またバドミントンをできる喜びが体中に溢れてくる。

そんな順平に優子が声をかける。


「・・・順平・・・くん。」

「優子さん。お久しぶりです。」

「この子・・・新・・・人の・・・小向・・・さん。」


そう言って優子が紹介したのは、順平と同い歳くらいの女性だった。


「運動経験・・・ないらしい・・・から・・・優しく教えて・・・あげて・・・ね。」

「わかりました。」


運動不足解消にバドミントンを始めることにしたという彼女。

先週の練習で初めてラケットを握ったということで、今はルールを覚えつつ、他のメンバーと別メニューで基本に取り組んでいる。

独り立ちできるのはまだ先のことだろうが、とても熱心だ。


午後からそんな彼女の指導をすることになった順平。

今日のメニューはレシーブ練習だ。

だが、まだ十分な体力がない彼女はすぐに息が上がってしまう。


この日、何度目かの休憩。

少しでもチームに馴染んでもらえるように、話を振る。


「小向さんは、運動やってこなかったんですよね。」

「はい。だからそろそろ何かやらないといけないなって思って。それにしてもバドミントンって、ハードですよね。レシーブだけでクタクタです」

「ははは。」


体力にはそれなりに自信があった自分でさえ、バドミントンを始めたばかりの頃はひどく疲れていたのを思い出す。

ましてや、運動経験のない人ならなおさらだろう。


「まぁ、体力は徐々につけていくとして。もう少しシャトル打てるようになったらダブルスやっていきましょうか。」

「ダブルス?」

「要は1つのコートに2人ずつ入ってやることです。シングルスより動きも少ないですし。」

「なるほど。ダブルスは初心者向けなんですね。」


そんな話をして、練習を再開しようとした時だった。

後ろから順平の肩が叩かれた。

振り返ると、そこにはしかめっ面をした優子がいた。


「あ、優子さん。どうしたんですか?」

「小向さんに・・・変なこと・・・教えないで。」

「え?」

「ダブルスの方が・・・体力使わないなんて・・・思ってるから・・・」

「?」

「順平くんは・・・いつまでたっても・・・弱いんだよ。」

「え~!?」


突然の優子のダメ出しに戸惑う順平。

小向も何が起きているのかわからず、途方にくれている。

優子は最後に意味深な言葉を残して去っていった。


「84cmを守るのが・・・どれだけ大変か・・・わからなければ・・・ダブルスは・・・勝てない。」

ポイント

ダブルスの強い人だけが知っていること。

それは、「シングルスより左右に84cm広いコートの怖さ」です。


1つのコートを2人で守るダブルス。

確かに打つ回数や移動距離はシングルスより少ないかも知れません。

しかし、だからといってダブルスのほうが楽というのは大きな間違いです。


相手を揺さぶるとはこういうことだ!」でも紹介したとおり、今のダブルスは、相手の動きを止めておいて、無理な体勢から走らせるゲーム展開が主流になってきています。

そのため、たとえ運動量が少なくても、シングルス以上の体力を消耗する場合もあるのです。

ここに84cmのコートの広さが加わればどうなるでしょう?

シングルスと同じ感覚でいては、痛い目にあうことは目に見えています。


ダブルスが強い人は、84cmの怖さを知っているからこそ、シングルスプレーヤー以上にホームポジションを重視して、少しでも移動距離を短くします。

もしあなたが、「ダブルスはシングルスより楽だ。」と考えているなら、今すぐ改めましょう。


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