一歩先ゆく相手前衛への対処法

前衛

前衛マエストロ元木とのゲーム練習で、今日も完膚なきまでに叩きのめされてしまった順平。

ほかの先輩や、インターネットをフル活用して対策を練り、再戦にのぞむ。

果たして勝敗は・・・

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「まだまだだな、順平。」

「くっそ~、また負けた~。」

「バドミントンで俺に勝とうなんて、80億年早いんだよ!」


鉄壁の布陣を敷く相手ペアの前衛、元木。

その前になすすべもなく敗れてしまった。


あまりに手ひどい負け方に、腹の虫が収まらない順平。

その日から、来るべき再戦のため準備を始めた。


まず足を運んだのは、前衛のうまい先輩。

世話好きな性格で、嫌な顔ひとつせず相談に乗ってくれた。


「元木はジャンプ力があるからなぁ。球をしっかり上げてかわした方が良いと思うぞ。」

「なるほど。了解です!」


次に見たのは、バドミントンのDVD。

トッププレーヤーたちが、ため息の出るような華麗なプレーをしている。

その中で、相手前衛の守備を速いドライブリターンで振り切るシーンがあった。


(ほう。そんな手もあるのか。)


次に手をつけたのが、インターネットによる検索。

バドミントンの技術を解説しているホームページは、いくらでもある。

その中で一番情報量の多いページには、こう書いてあった。


『前衛の横を抜くのが一番スマートです。』


(何がスマートなのかわからないけど・・・これも使えそうだなぁ。)


そして再戦の日がやってきた。

ネットを挟んでにらみ合う順平と元木。


予習は万全。

今日こそ、その鉄壁の守備を崩してみせる!


「元木さん。今日こそは負けませんよ!めっちゃ研究してきましたから。」

「そのセリフ・・・3,000万回は聞いてるぞ。」

「今日こそ本当です!!」


ゲームが始まると、さっそく研究の成果を発揮できるシーンがやってきた。


(まずは相手の上からだ)


そのジャンプ力を想定して、かなり高い球で元木を交わす順平。

届かないと見て、シャトルを見送る元木。

・・・だが、落下点には相手の後衛が待ち構えていた。

絵に描いたように、きれいなスマッシュを決められてしまう。


順平が次に狙ったのは、スピードのあるドライブを使った前衛の回避。

ベストショットを打てたことに、手ごたえを感じる順平。

・・・だが、元木は並外れた反射神経で対応してきた。

電光石火のリターンに、一歩も動けない。


元木が笑いながら声をかけてくる。


「おいおい順平。そろそろ研究の成果を見せてみろよ。」

「わ、わかってますってば!」


角度のあるクロスリターンで、元木の横を抜こうとする順平。

・・・だが、とっさに空いているコースを見つけられず、右か左か迷っているうちに、シャトルは床に落ちてしまった。


結局、前回以上の大差をつけられて、ゲームは終わった。

放心状態の順平に、元木の冷たい言葉が突き刺さる。


「お前、何やってるんだよ。前の方がまだ良かったぞ。」

「・・・」

「いつも言ってるだろ?お前は方法が悪いんじゃない。使い方が悪いんだって。」

ポイント

ダブルスでは、いかに相手前衛をかわすかが、勝敗に大きく影響します。

なぜなら、前衛に捕まってしまうと、相手との距離が近く返球が速いため、失点につながりやすいからです。


前衛をかわす方法は、大きく分けて3つあります。

しかし、それぞれの特徴を理解した上で使い分けられなければ、今回の順平君のようになってしまいます。


それでは、3つの方法を整理してみましょう。


● 相手前衛の上を抜く

  ・メリット :一番確実に前衛を抜くことができる

  ・デメリット:滞空時間が長く、前衛を抜けても、今度は後衛に叩かれる危険性がある


● 相手前衛を速さで抜く

  ・メリット :相手の後衛に打ち込まれにくい

  ・デメリット:前衛につかまりやすく、相手の返球が速いため短時間での対応を迫られる


● 相手前衛の横を抜く

  ・メリット :うまく決まれば相手前衛・後衛の両方が対応しにくいリターンができる

  ・デメリット:空いているコースを探しにくい。


闇雲なプレーで勝てるほど、バドミントンは甘くありません。

その時々の状況を見極め、最善の手段を選択することが大切です。


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