そのアドバイスはなぜ理解されないのか?

アドバイス

問題解決のスタート地点である「気づき」。

そして、これを引き出す重要な要素が「アドバイス」。

指導者としての資質が最も問われるスキルのひとつです。

あなたは、自分のアドバイスに自信を持っていますか?

こんな間違いで選手たちを迷わせてはいませんか?

それではストーリーをどうぞ。

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連休前のある日の夕方のことだった。


部員たちの練習の様子を確認して、職員室に引き上げようとする岡崎に、声をかけてきた生徒がいた。

バドミントン部2年 内藤である。


「おう、内藤、どうした?」

「先生、今年の1年は全然ダメですよ。」

「おいおい、どうしたんだ?」


話を聞くと、後輩にアドバイスをしているのだが、理解してもらえないという。

短気な内藤には珍しく、親身になって根気強く説明しているのに、うまくなるどころか、ますます下手になってしまったそうだ。


バドミントン部の中でも1、2を争う短気者の内藤。

すっかり頭に血が上っている。


(なるほどね・・・)

岡崎は心の中で頷いた。

軽い深呼吸をしたあと、口を開いた。


「アドバイスが伝わらないのは伝えるほうの問題だ、お前が悪い!」

「え?こんなに熱心にやってるのにですか?」

「もっと伝わる言葉を使わなきゃダメだし、相手の気持ちに立たなきゃダメだし、その上でなめられないようにビシッといわなきゃ・・・」

「ちょ、ちょっと先生、待ってくださいよ。」


岡崎のアドバイスを内藤がさえぎった。


「一度にそんなに言われても無理ですよ。」

「そうか。そりゃそうだよな。」

「それに、伝わる言葉って言われても、あいまいすぎて理解できません!」


内藤の言葉を聞いた岡崎は、深呼吸をした。

そして話を続ける。


「1年も理解できないだろうな。」

「えっ?」

「一度にいろいろ言われるわ、その内容は気合いを入れろだの、集中しろだの、あいまいなことばかり。混乱してしまうよな。」

「あっ!」


自分のアドバイスの欠点を、目に見える形で指摘され、言葉を失った内藤。

岡崎は話を続ける。


「1回の会話で伝えることは、多くてもふたつまで。そして、アドバイスは絶対に相手ができることだけ。まずはこれだけやってみようぜ。」

ポイント

間違ったアドバイス。

お分かりいただけましたでしょうか。


ショットのコントロールが安定しない選手に

「もっと安定したショットを打て!」

と怒鳴っても意味がありません。

それができないから困っているのです。


そうではなく、たとえば

「打つときに少し脇をしめろ」

といった、相手が実行できる具体的なアドバイスをすることが大切なのです。


指導に熱くなると、ついあれもこれもと言いたくなります。

感情が高ぶっているので、アドバイスもあいまいになってきます。

でも、それでは効果がないどころか逆効果です。


熱心な指導者ほど陥りやすいアドバイスの間違い。

あなたは大丈夫ですか?


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