最後までやりきるための我慢の仕方

指導

バドミントンは楽しいことばかりではありません。

負けることの悔しさ。

思うようにいかないイラだち。

そんな辛さに、じっと我慢しなくてはいけないときもあります。

それはプレイヤーだけではなく、指導者に対してもいえることです。

私たちは、我慢とどう付き合っていけば良いのでしょうか。

それでは今日のストーリーをどうぞ。

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もう入学式が終わってからしばらく経つのに、今年は肌寒い日が多い。

岡崎は、暖房のよく効いた職員室で眠気と戦っていた。

いくら休み時間だからといって、教師が職員室で寝ていては生徒にカッコがつかない。

それにしても、ね、眠い・・・。


そんな岡崎の眠気を覚ましたのは、突然の来訪者だった。

力なくドアを開けて入ってきたのは、バドミントン部の1年 田崎だった。

暗いオーラを背負った田崎は、岡崎に1枚の紙を差し出した。


【退部届】


「で、なんでやめるんだ?お前、いつも熱心に練習していたじゃないか。」

「・・・中学より厳しい練習に耐えられないというか。それに、先輩も怖いし。」

「もうバドミントンが嫌いになったか?」

「いえ、バドミントンは好きです。ただ、僕には厳しすぎるっていうか・・・」


突然の異常事態。

だが、岡崎は取り乱した様子もない。

この季節になると、必ずこういう部員が出てくるからだ。

岡崎は続ける。


「じゃあ、明日だけなら部活、出られるか?」

「・・・まあ明日だけなら。」

「明後日までなら出られるか?」

「・・・まあ。」

「じゃあその次までなら?」

「先生、僕をバカにしてるんですか?」


重苦しかった空気が少しだけ軽くなった。

それを見のがさず岡崎が続ける。


「いや、大まじめさ。実際『それくらいなら』って思っただろ?」

「まあ確かに。」

「あと1日だけ部活に出るでも、次のゲームで勝つまででも良い。とにかく小さなゴールをたくさん用意するんだ。」

「・・・」

「1mmでも前に進めば、状況は必ず変わる。永久に続く事なんて絶対に存在しないんだ。良いことだって、悪いことだってな。」


田崎は黙りこんでしまった。

そんな田崎を正面から見て、岡崎は声をかける。


「それでもやめるっていうなら仕方ない。でも俺は、1年の中でお前が一番才能があると思っている。」

「えっ!?」

「だから、成長する姿を見せ続けてくれるとうれしいな。」

ポイント

優秀なフルマラソンのランナーに、初めてのコースを走らせる実験がありました。

指示したのは、先導するのでついてくるように、ということだけ。

何キロ走ったか、あとどれくらいでゴールかなどは、ランナーに一切知らせません。

そして、ランナーがギブアップしたところまでの距離をはかると、スタートから30kmとちょっとでした。

42.195kmを2時間台で走る力があり、練習ではそれ以上の距離を走ることができるはずなのに、です。


ゴールが見えなければ、どんなアスリートだって最後までがんばり抜くことなんてできません。

人は誰でも、我慢のゴールがあるからがんばれるのです。

そしてそのゴールとは、誰でもない自分自身で決めることができるものです。


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