解決できない問題が起きたときの対処法
指導者
最初は右も左もわからなかった新人メンバーも、いずれはチームに馴染んできます。
受身だった教え子たちが、突っ込んだ質問をぶつけてきますので、指導者の方も気を引き締めなくてはいけませんね。
もしかしたら、解決策が見つからず、教え子以上に深く悩むことだってあるかもしれません。
その日に備えて、あなたは今、どんな準備をしていますか?
より広く深い知識を得ること、教え子たちとの信頼関係の強化・・・やることはたくさんありますね。
でもそれと同じか、それ以上に大切なことがあります。
それは・・・
ストーリーをどうぞ。
バドミントン部のムードメーカー(トラブルメーカーでもある)山川が珍しく静かだ。
いつもだったら、うるさいくらいに声を出し続けているのに、今日はほとんど口を開いていない。
誰もが気になっているが、あまりに空気が重く、話を切り出せない。
顧問の岡崎は苦笑した。
やれやれ、しょうがないな。
岡崎は、休憩時間を見計らって山川に声をかけた。
「山川、今日はやけに静かだな。」
「あ、先生。」
山川の悩みは、自分のプレイスタイルについてだった。
入学から2年。
守りから相手の隙をつくスタイルを貫いてきた山川。
しかし、そのプレイスタイルに限界を感じてきたのだという。
「で、結論は出たのか?」
「高校でのプレー期間はあと1年。失敗したら最後の1年を棒に振ることになるんじゃないかと思うと・・・」
山川くらいやる気があれば、大学、社会人とバドミントンを続けていけるだろう。
長い目で見れば、たとえこの1年を新しいプレイスタイルの開発に費やしたとしても、決してムダではない。
だが、今が大切なのも事実だ。
岡崎は少し考えこんでから、慎重に口を開いた。
「ところで、昔、問題が起こったときの解決方法を教えたことがあったよな。覚えてるか?」
「はい、良く覚えてます!・・・ええと、もしうまくいくとしたらどうしたいか、と前向きに考えることですよね。」
「そうだ。よく覚えていたな。」
「はい。」
「で、今のお前はそうやって考えられているか?」
「あっ。」
山川はハッと息を飲んだ。
その様子を見た岡崎は、ニッコリ笑って話をつづけた。
「じゃあもう1度質問だ。今のスタイルのまま解決するか、新しく攻めのバドミントンを取り入れるか、お前はどうしたい?」
ポイント
今回のポイントは、プラス思考が問題解決に必要・・・ということではありません。
問題を解決する方法は、思ったよりもシンプルです。
そして、ある程度の経験を積んだ指導者ならば、そのための知識はすでに備わっています。
にも関わらず、いざ問題を前にすると、手も足も出ない人がたくさんいます。
スキルや知識は、日々実践していないと応用力が低下していきます。
そのせいで、解決策は自分の中にあるのに、形を変えて当てはめることができないのです。
たとえば「ほめることが大切。」と教わったとします。
でも、本当に教え子をほめることを実践している方は、どれくらいいるでしょう?
一流と呼ばれる指導者は、先に進むのと同じくらい、振り返る時間を大切にします。
そして、実践の中で己を磨き続けるのです。