いつも以上に落ち込み、一人たそがれる社会人チームの新人メンバー順平。
そんな彼に、普段は後輩の面倒などみない元木がアドバイスをする。
彼のアドバイスは順平に届くのか・・・
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いつも以上に落ち込み、一人たそがれる社会人チームの新人メンバー順平。
そんな彼に、普段は後輩の面倒などみない元木がアドバイスをする。
彼のアドバイスは順平に届くのか・・・
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まだまだ覚えなければいけないことはたくさんあるが、周囲には少しずつ良くなっていっていると言われている。
しかし、心は晴れなかった。
たしかに、入ったばかりのときよりは上達しているだろう。
だが、自分が前衛に入るゲーム練習では、決定力不足を思い知らされる。
ペアを組む先輩は誰も怒らないが、これではあまりに申し訳ない。
休憩時間。
汗を拭きながら、体育館の窓から空を見上げた。
どこまでも青かった。
「よう、1人で何たそがれてんだい?」
そう声をかけてきたのは「前衛マエストロ」の異名を取る元木だった。
コートに入れば点を取りまくる、チームのエース。
この人にはこんな悩み、ないんだろうな。
「前衛って点が取れなきゃ意味ないですよね。」
「なんだ?ヤブから棒に。」
「前衛って攻めるのが仕事じゃないですか。それで点が取れないって・・・お荷物ですわ。」
普段と違う順平の落ち込み様に気づいた元木。
普段は後輩にアドバイスなど絶対にしないのだが、今日は少し違った。
「なんで決められないか教えてやろうか?」
「ショットにスピードがないからですか?」
「お前が相手の得意コースばっかりに打っているからだよ。」
「えっ?」
元木はそんなことも気づいてなかったのか、と言うように首を数回振った。
そして話を続ける。
「後衛同士がドライブの打ち合いになったりすると、前衛って結構ヒマだろ?」
「はぁ、まあ。」
「せっかく相手のすぐそばに立ってるんだ。その間に相手の弱点の1つも見つけてみたらどうだ?」
ポイント
一般的に、後衛に比べて運動量が少ないバドミントンダブルスの前衛。
シャトルに触る時間も後衛に比べて少なくなります。
ですが、前衛には打ち合いに参加していない間にも大事な仕事があります。
1つは、ストーリーの中でも出てきた、相手のクセや弱点を見抜くこと。
弱点のない人間なんていません。
必ずあるはずだ、という意識で注意深く観察すれば必ず見えてきます。
もう1つは、相手に少しでも甘い返球がきたら打ち返すぞ、というプレッシャーをかけつづけることです。
さらに、後衛音フォローなど、前衛の仕事はまだまだあります。
常に、「今何ができるのか」を意識するようにしてくださいね。
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