ある日、社会人チームの新人メンバー順平が体育館にいくと、すでに先客が。
サーブのクリスこと、クリス花柳だ。
メンバーが揃うまで先に練習をすることになった2人。
ところがひょんなことから、サーブについて熱く語られることになり・・・
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ある日、社会人チームの新人メンバー順平が体育館にいくと、すでに先客が。
サーブのクリスこと、クリス花柳だ。
メンバーが揃うまで先に練習をすることになった2人。
ところがひょんなことから、サーブについて熱く語られることになり・・・
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誰もいないかと思っていたが、体育館からはもうシャトルを打つ音が聞こえる。
先に来ていたのは、クリスだった。
軽くあいさつをかわしてからアップを始める順平。
すると、それを見ていた花柳が声をかけてきた。
「順平君、まだ誰もこないしちょっと練習付き合わない?」
「はぁ、構いませんけど何をやるんですか?」
キラーン!
花柳の目が光った。
・・・そして返ってきたのは、予想通りの回答だった。
口からのぞく白い歯がまぶしい。
「はっはっは、もちろんサーブさ。」
「花柳さん、サーブ好きですね。」
「そりゃそうさ。決まればカッコ良いし、やればやるほど上手くなるし、バドミントンで一番大切なショットと言っても過言ではないからね。」
「・・・そんな大げさな。」
「何!?」
順平の一言に花柳の目付きが変わった。
それに気づかない順平は話を続ける。
「そりゃラリーポイント制だから、失敗できないのはわかります。でもバドミントンで一番大切って言うのはいくらなんでも・・・」
「じゃあ何かね?君はサーブはそれほど大切ではないと!?」
「いや、そこまでは言いませんけど。でもテニスやバレーみたいに激しく打ち込んじゃダメだし、とりあえず入れておけば良いでしょ?」
一瞬イラッとした表情を見せた花柳だが、何を思ったかニヤリと笑った。
そしていつも以上に優しく順平に話しかけた。
「順平君、まだみんながくるまで時間もあるし、1セットだけやらないか?僕が負けたら帰りにラーメンおごるよ。」
「え?本当ですか!?」
「ただし僕のサーブからやらせてもらうよ。構わないよね?別に大切じゃないんだから。」
「はぁ。」
そんなわけで始まった2人のゲーム。
バドミントン歴は相手のほうが長いが、自分も学生の頃、テニスをやっていた。
それに花柳は他の先輩に比べると、レシーブも攻撃も数段見劣りする。
もしかしたら・・・そんな期待が高まった。
1本目。
足元ギリギリに入ってきたショートサーブを上げてしまい、プッシュで押し込まれる。
まあ仕方ない、次だと気持ちを切り替える。
2本目。
構えた瞬間に打たれ焦ってフレームショット。
まあまあ、まだ2点だ。
3本目。
予想を裏切ったロングサーブにのけぞり、空いたスペースに放り込まれる。
少しイライラしてきた。
そして4本目。
ようやくまともにとれそうなサーブがきたが・・・力みすぎてミス。
10分後。
チームのメンバーがやってくると、そこには汗だくでコートに倒れこむ順平とそれを見下ろす花柳の姿があった。
今から練習だというのに、体力を使い果たしてしまった。
そんな順平に、花柳は腕を組みながらポツリとつぶやいた。
「サーブをナメるな。」
ポイント
順平君も話していた通り、バドミントンのサーブは、テニスやバレーと違い、勢いをつけて打ってはいけません。
また、ラリーポイント制により失敗すれば即失点になってしまうため、確実にコートに入れるコントロールが不可欠です。
しかし、バドミントンにおけるサーブの真の重要性はほかにあります。
それは、「サーブはゲームの主導権をにぎることができるショット」であることです。
バドミントンに限らず、勝負には流れというものがあります。
そして、流れを引き寄せるための最初のチャンスが、ゲームのスタートである「サーブ」なのです。
一度傾いてしまった流れを引き戻すのは、容易なことではありません。
もしあなたが、サーブを「とにかく入れることが重要なショット」と考えているのなら、それはとてももったいないことです。
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