教え子に熱意が伝わる接し方とは?

指導者

最近、指導をする立場の方に「叱り方が分からない」という悩みを持つ方が増えているそうです。

有料のセミナーに自費で参加する管理職の方も多いと聞きます。

さて、こういったセミナーでは教えてくれるのはだいたいこんな内容です。

・ 相手の人間性を否定するような言葉は使わない

・ 出来るだけ具体的な形で叱る

・ 怒りを感じたら深呼吸をして感情的にならない

残念ですが、これらは相手に接するときの留意点の一部に過ぎません。

では、どんなに厳しくても教え子と絆を深められる指導者はどうしているのでしょうか。

それではストーリーをご覧ください

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夕方の職員室で、岡崎は書類整理をしながら窓の外を眺めていた。

ここ数日、朝から一日中雨が降っていることが多い。


(また洗濯物がたまってしまうな。)


そんなことを考えていると、職員室のドアが開いて、バドミントン部 部長の岸田が入ってきた。


「おう、岸田か。どうした?」

「・・・中村なんですけど・・・また帰っちゃったんです。」


一年の中村は先輩から厳しく叱られて逃亡した過去がある。

そんな経緯から、部員たちはできるだけ穏やかに接してきた。

岸田はガックリと肩を落として話を続けた。


「あんなに穏やかに接してきたのに、ほんのちょっと怒っただけで・・・。 僕たち何か間違っていたんでしょうか?」


(うーん、少し厳しいけれどきちんと言わないとな。)

岡崎は岸田に向き直った。


「中村、つらかっただろうな。」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。みんなであんなに気をつかったのに・・・。」


珍しく声を荒げた岸田に岡崎は淡々と説明を続けた。


「相手が怒りを押し殺しながら自分に接してるって分かったらどう思う?」

「・・・嫌です。」

「そういうのは隠したつもりでも伝わるんだよ。しかも直接言われるよりダメージがでかいんだ。」

「・・・確かに。でも厳しくしたらまた・・・」


今ひとつ腑に落ちない岸田をよそに岡崎は話を続ける。


「お前、あいつにどうなって欲しいんだ?」

「え?そりゃぁ、もっとうまくなってチームの戦力に・・・。」

「じゃあお前らは中村がバドミントン強ければあとはどうでもいいのか?」

「そ、そんなわけないじゃないですか。」

「そうだろうな。でも中村はどう思っているだろうな。」

「!?」


話し始めてから大分時間がたってしまった。

岡崎は岸田の肩をポンと叩いた。


「お前らがどれだけ中村のことを考えているかは分かっているさ。でも、それが中村に伝わらなければ穏やかに接しても厳しく接しても同じだぞ。」

ポイント

「うまくなるために頑張れ」

「強くなるために頑張れ」

「勝つために頑張れ」


愛情と情熱を持って、日々努力を続ける指導者の方はたくさんおられます。

それはとても素晴らしいことです。

でも、その接し方で、その先にあるものは教え子たちに届くのでしょうか。


まずは誰よりも教え子たちの可能性を本人よりも信じることです。

それが出来れば全く同じ言葉でも全く別の意味を持ちます。


こんな質問を自分にしてみてください。

 

「自分はなぜこんなにも熱心に指導をしているのか。」

 

その答えは教え子たちに伝わっていますか?

指導者としての熱意が伝わったとき、あなたと教え子たちの間に言葉を超えた強い絆が生まれるのです。


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