これが本物のロングサーブだ!

ロングサーブ

シングルス・ダブルス問わず、最近のバドミントンで主流になっているショートサーブ。

そのせいだろうか、ロングサーブをショートサーブの補助的なものと位置づけるプレーヤーも多い。

順平も、そんな一人だった。

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「おっ、順平。もう練習きてるのか。」

「あっ、おはようございます。」


体育館2番乗りの先輩とあいさつをかわす順平。


全体練習前のサーブ練習は、今ではすっかり習慣だ。

体力的・精神的に辛い時、サーブを成功させるのは練習以外にないと信じている。


しばらくすると、よく知った顔が体育館の扉を勢い良く開けた。

クリスだ。


「あっ、クリスさん。おはようございます!」

「おはよう。」


念入りにアップを始めるクリス。

それを横目で見ながら、数本ショートサーブを打った順平は、次の練習の準備を始めた。

だが、その様子を見たクリスはアップも放り出してこちらにやってきた。

 

「ちょっちょっと待ちたまえ順平くん。」

「うわっ、びっくりした!どうしたんですか、クリスさん!」

「君、ロングサーブは練習しないのかね?」

「クリスさんが来る前に5本くらい打ちましたよ。」

「5、5本・・・たったの・・・5本・・・5本・・・5本・・・」

「だってめったに使わないし・・・あ、あの、クリスさん、どうしたんですか?」


プルプルと震えているクリス。

いったい何がどうしたと言うんだろう。

やがてクリスが口を開いた。


「・・・たまえ。」

「えっ?珠江ちゃんだったら今日は休みですよ。」

「違う!コートに入りたまえと言ってるんだ!君の暴言、死ぬほど後悔させてやる!!」


久しぶりのクリスとの対戦に胸をワクワクさせる順平。

そんな彼をラケットで指しながらクリスは宣言した。


「最初に言っておく。僕はロングサーブしか打たないからそのつもりでいたまえ。」

「はっ、はぁ。」


宣言どおり、クリスは最初からロングサーブを打ってきた。


(スマッシュ打ってくれと言わんばかりですよ、クリスさん!)


得意のスマッシュを全力で打ち込む順平。


だが、打った先にはクリスがいた。

いくら速くても、コースを読まれていては通用しない。

体勢を崩した順平の脇へきれいにリターンが決められてしまった。


クリス2回目のサーブも、やはりロングサーブ。

今度はドロップでネット際を狙う順平。

だが・・・これも読まれてプッシュで叩き落されてしまう。


結局、1度もサーブを打つことなくゲームが終わってしまった。

1点も取れず、すべて3球以内で終わってしまうなんて、こんなマンガのようなことがあり得るだろうか。

いまだに信じられない順平を、クリスの高笑いが現実に引き戻す。


「順平くん、残念ながら夢じゃないよ。君はパーフェクト負けしたんだ。」

「さすがクリスさん。3打目の処理もプロ級ですね・・・参りました。」


そう答えた順平に、まだわからないのかね、と呆れ顔のクリス。


チッチッチッチ・・・

舌打ちをしながら、人差し指を左右に振って言う。


「これが君のバカにしたロングサーブの力だよ。」

ポイント

ロングサーブには、1つとても大きなメリットがあります。

それは、「ショートサーブに比べ相手の返球コースが限られている」ということです。


ストレートのロングサーブを打てば、返球はほとんどがストレートスマッシュ。

多少速い球を打たれても、くることがわかっているので怖くはありません。

また、上級者が相手ならドロップやクリアがくる可能性もありますが、スマッシュさえマークしていれば対応できるので大丈夫です。

 

バドミントンにムダなことはありません。

ストーリーでは極端に紹介していますが、うまいロングサーブは強力な武器になります。

ショートサーブ一辺倒の人は、一度見直してみてはいかがですか?


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