コンビの決定力を左右するサーバーの役割

サーバー

サーバーには、ただ意識するだけでラリーを有利にできることがある。

にも関わらず、ほとんどのサーバーは良いサーブを打つことしか意識していない。

どんなサーブを打っても、これがなければサーバーとしては50点だというのに・・・

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「よし、最後はサーブ練習だ。」


全体練習終了後、誰もいない体育館に順平の元気な声がこだまする。


サーブはミスをすれば即失点、逆に有効打が打てれば、ゲームの主導権を握ることができる重要なショット。

このチームでプレーを重ねるうちに、そのことが痛いほどわかった。

だからこそ、それなりに良いサーブが打てるようになってからも、順平は練習を欠かさない。


「ん?まだ残ってるのかい?」


突然声をかけられ驚く順平。

振り向くとそこにいたのは、チームが誇るサーブの名人、サーブのクリスことクリス花柳だった。


「あっ、クリスさん。どうしたんですか?」

「いや、ちょっと携帯忘れちゃって。」

「あぁ、そっちに置いておきました。」

「えっ本当?ありがとう順平くん。助かったよ。」


練習に戻ろうとする順平。

それを見ていたクリスは、独り言のように静かに話しだした。


「順平くんもずいぶん良いサーブを打つようになったね。」

「あ、ありがとうございます。」

「バドミントン始めたときは、右も左もわからなかったのに。」

「いろいろ教えてもらいましたから。」

「ただ、最近ちょっと気になることがあるんだ。」


その一言に少し緊張する順平。

一体何だろう。


「サーブはうまくなった。意図を持って打ってるのがわかるし。ただ・・・」

「た、ただ!?」

「口で言うよりやってみせたほうがわかりやすいね。サーブ打ってみなよ。」

「は、はい。」


わけがわからないままコートに入り、サーブを打つ順平。

良いコースに打つことができた。


返ってきたのはヘアピン。

それを当たり前のように大きく返し、次のプレーに備える順平。


だがクリスは・・・返ってきたシャトルを手で取ってしまった。


「ちょっ、ちょっとクリスさん!?」

「今のヘアピン、何で打ち込んでこないの?」

「えっ、だ、だって・・・」

「いや、打ち込まなかったんじゃなくて、打ち込めなかった。そうだね?」


心の内を見透かされ呆然とする順平

そんな彼に、クリスは少し強い口調で言った。


「サーバーは良いサーブが打てて50点。ヘアピンを打ち込めて50点。どちらが欠けても半人前だよ。」

「で、でもプッシュも拾わなきゃ。ショートサーブ打ったらロブがくることもあるし・・・」

「プッシュやロブ?何で君が拾わなきゃいけないの?」

ポイント

3打目を決められず、長いラリーに持ち込まれてしまうペアには、ある特徴があります。

それは、サーバーが積極的にヘアピンを叩けないこと。


確かにサーバーの本業は良いサーブを打つことです。

でも考えてみてください。

ヘアピンへのプッシュリターンは、バドミントンの中でも最も点が取りやすいプレーの1つ。

しかも、第3打のヘアピンはサーバーしか取れません。

これを打ち込めないというのは、ゲームの主導権を放棄するのと同じです。


ヘアピン以外の返球を気にする必要はありません。

相手がロブを上げれば、それを拾うのはパートナー。

プッシュだって、自分の正面にでも飛んでこない限り、任せられます。

自分で取らなくても良い球に気を配るより、自分しかできない仕事に集中しましょう。


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