今日も居残り練習に精を出す順平。
限界まで身体をいじめる日が続く。
だがそんなある日の練習ゲームでのこと・・・
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今日も居残り練習に精を出す順平。
限界まで身体をいじめる日が続く。
だがそんなある日の練習ゲームでのこと・・・
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自らに課した100本のスマッシュ練習。
もう肩が上がらない。
充実感と疲労感がどっと押し寄せる。
「順平くん、ほんとによく練習するよね。」
球出しで練習に付き合ってくれた先輩が、呆れ顔で笑っていた。
「バドミントン上手くなるには、練習しかないですから。」
順平はそう言って、笑顔を返した。
今日のゲーム練習は、後輩ペアが相手だった。
最近メキメキと実力をつけてきた油断のできない相手だが、先輩のメンツにかけて負ける訳にはいかない。
(バドミントンの厳しさを教えてやるぜ!)
そう意気込んでのぞんだゲーム・・・のはずだったが、思わぬ苦戦を強いられる順平。
相手が順平渾身のスマッシュに、食らいついてくるのだ。
打っても打っても決まらない。
(あ、危なかった。)
辛勝ゲームに冷や汗をぬぐう順平。
上手くなったとは思っていたけれど、まさかここまでとは・・・
これはウカウカしてられないぞ。
今日もスマッシュの自主練習をすることを決意した。
そんな順平に声をかけるメンバーがいた。
「順平ちゃ~ん。アイス食べない?あ、いいっすねぇ。なーんちゃって。」
このダジャレは・・・我チームが誇る後衛のスペシャリスト大垣だ。
いつものことながら、しょうもない。
「アイスはいりません。身体冷えますから。」
「うーん、アイス並にクールな反応だねぇ。」
「・・・いいんですか?アイス、溶けてますよ。」
2人前のアイスを食べ終わった大垣。
それまでのゆるんだ表情を引き締めて、話を切り出してきた。
「ところであのスマッシュだけど・・・少し考えた方が良いんじゃない?」
「そうですね。もっと角度のついたスマッシュが打てるように頑張りますよ。」
「いや、そういうことじゃなくってさぁ・・・」
今の順平に何を言っても無駄だと悟ったのだろう。
大垣は代わりに、隣のコートにいた羽柴に声をかけた。
順平と同じ時期に入ったメンバーだが、お世辞にも練習熱心とは言えない。
「羽柴君、最近調子はどう?」
「うーん、スマッシュが決まらないっすねぇ。いくら強打しても拾われるっていうか。」
脇で話を聞いていた順平は、心の中で突っ込んだ。
(そういうことはもっと速いスマッシュを打てるようになってから言え!)
自分とは正反対の羽柴とは何かと馬が合わない。
そんな順平の心の叫びなど知る由もなく、羽柴は話を続ける。
「ねえ大垣さん。何か良い方法ないですかね。」
さらに突っ込む順平。
(あるわけねえだろ!もっと練習しろってんだよ!!)
だが、そんな羽柴に大垣はこんなアドバイスをした。
「羽柴君は球威で押すタイプじゃないからねぇ。タイミングをずらしてみたら?」
「タイミングっすか?」
「一口にスマッシュといっても、速いスマッシュ・遅いスマッシュ・打点の高いスマッシュ・低いスマッシュ・・・いろいろあるじゃん。それを使い分けてみるんだよ。」
「なるほど。」
「全力のスマッシュとドロップの間に、いくつかスピードの違うショットがあると、攻撃の幅が広がるよ。」
「了解です。さっそくやってみます!」
それから数分後。
羽柴がコートで雄たけびを上げた。
大垣のアドバイスが効いたようだ。
その様子を見ながら、大垣はわざと順平に聞こえるように大きな声で独り言を言った。
「練習熱心なのは良いことだよ。でも自分のやり方に固執してると、取り残されるよ。」
ポイント
日々、並々ならぬ練習を重ねる人がいます。
彼らは、根がまじめで自分に厳しく、時間さえあればシャトルを打ちます。
でも、意外に結果を出せないのもこのタイプだったりします。
その反対に、それほど練習に力を入れていないように見える人もいます。
基礎ができていなかったり、ちょっと厳しいことがあると逃げ腰になったりする、どのチームにも1人はいるタイプですね。
でも、こういうタイプは、ちょっとしたアドバイスでコツをつかむと急成長したりします。
この違いはどこからくるのでしょうか。
練習熱心な人の上達を阻むもの、それは「固執」です。
厳しい練習をしているから、これまで自分がやってきたことだから、という理由で同じ場所にとどまり、成長を止めてしまうのです。
今回の順平君のように、とにかくスマッシュに角度をつけたがる人はその典型。
こういう人は、角度がないこと以外に不調の原因を求めません。
それどころか、問題が分かっていたとしても、無理やり角度のせいにしたりします。
誰だって苦労して身につけたことを否定されるのは辛いものです
そのため、一度身に付けたスタイルを変えるのには長い時間と苦しみを伴います。
こんな苦労をしないように、普段から何が最善かを考え、新しいことを取り入れることを恐れないプレーヤーをでありたいものです。
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