知らないと損をする基礎練習の落とし穴

基礎練習

すっかりチーム内での新人教育係に定着した順平。

先日加入した後輩に、チームの基礎練習をやさしく教えている。

だが、そんな順平の「ある一言」を聞いた優子は・・・

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「・・・で、最後がスマッシュのノック30本。これがうちの基礎練習。あとはゲーム練習っていうのが1日の流れだよ。」

「はい。」


新人の面倒を見るようになって数ヶ月。

教え方もだいぶさまになってきた。

相手が理解していない部分はないか、注意を払いながら丁寧に教えている。


今日教えている新人は、バドミントンはもちろん本格的にスポーツをやった経験もまったくない。

技術面・体力面・メンタル面・・・課題は山積みだ。

だけど、せっかくだからバドミントンを好きになってほしい。

そう考える順平は、自分が初心者だった頃のことを思い出し、できる限り優しく指導していこうと考えている。


そんなことを考えていると、新人がこんなことを言い出した。


「・・・それにしても、バドミントンって難しいですね。僕なんか基礎練習でさえこなせないし・・・本当に試合なんか出れるのかな・・・」


そう、そうなんだよ。

順平は深く共感した。

自分も最初の頃は、オモチャのラケットを使って公園でやる遊びのバドミントンと、競技バドミントンの違いに驚いたものだ。

心配する後輩に優しく話しかける順平。


「大丈夫だって!最初は誰だってこんなものだよ。」

「でも・・・」

「僕だって最初はそうだったよ。」

「・・・そうですかねぇ。でも、僕、不器用だから。」

「基礎練習なんて少し慣れたら、鼻歌を歌いながらでも自然にできるようになるよ。」


2人の会話が終わって、全体での基礎練習が始まる時間がやってきた。

そろそろコートに入ろうか、そう思った時だった。

順平はラケットでわき腹をつつかれた。


振り返ると、そこにいたのは不機嫌な顔をした優子だった。

今日の優子は、練習だというのに少し化粧をしているようだ。

・・・ただ・・・口紅の塗り方が・・・どう見ても「おばけのQ太郎」状態だ。


そこは注意したほうが良いだろうか。

迷っている順平に、優子は突然こんなことを言い出した。


「・・・順平・・・くん・・・彼の基礎練習は・・・わたしが・・・教えるから。」

「えっ?でも大丈夫ですよ。これは僕の役目ですし。」


今日は新人の相手を代わってくれるということだろうか。

だが、試合も控えているし、教育係は自分に任せて、優子には目の前のことに集中してほしい。

そう考えた順平だったが、優子の真意は違った。


「・・・順平くんが・・・教えたら・・・彼が・・・ダメになる。」

「えっ!?そんなことないですよ。丁寧にしっかり教えていますし大丈夫です!!」

「基礎練習を・・・鼻歌まじりで・・・やるような人は・・・ダメ。」

ポイント

ノック練習に代表されるバドミントンの基礎練習。

チームでは、ゲーム練習や個人練習の前に全員でやることが多いですよね。


そのせいでしょうか。

基礎練習を、ウォーミングアップの1つと軽く考えている人をよく見ます。

しかし、ここに上達を阻む落とし穴があります。


バドミントンに限らず、基礎練習は同じことを繰り返す反復練習が中心。

慣れてくれば当然、意識しなくてもできるようになります。

これは逆に言えば、何の目的意識も持たずに体を動かしているということです。


この状態では、変な癖や間違ったフォームがついてもなかなか気づけません。

その結果、知らず知らずのうちに「間違えたプレー」の反復練習をしてしまい、後から修正に苦労することになってしまうのです。


だからこそ上級者は、基礎練習にこそ特別な意識を注ぎます。

基礎練習こそ、自分のペースで客観的に自分のプレーを見つめなおす場だと考えるのです。

思い当たる人は、次の練習から改めるようにしてくださいね。


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