後輩 中村からの相談にのる順平。
自分も同じことで悩んだ時期があったので、親身になってアドバイスをする。
だが、それを横で聞いていた優子は・・・
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後輩 中村からの相談にのる順平。
自分も同じことで悩んだ時期があったので、親身になってアドバイスをする。
だが、それを横で聞いていた優子は・・・
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順平も、見たいドラマの第1回目の放送があるため、今日は早く帰ろうと決めていた。
一応、ビデオ予約はしているが、1回目はリアルタイムで見たいものだ。
だが、そんな順平を呼び止める声が聞こえる。
「あの、順平さん。」
振り返ると、そこにいるのは後輩の中村だった。
「ん?中村君。どうしたの?」
「実はアドバイスをいただきたくて。ちょっと良いですか?」
中村は、礼儀正しく、さわやかな誰からも可愛がられる後輩の典型だ。
そんな中村に頼られたとなれば、相談にのらないわけにはいかない。
「で、どうしたの?」
「実は・・・」
中村の相談は、打点についてのことだった。
どの先輩にもより高く、より前に打点を置いてシャトルを打つように教えられるが、なかなかうまくいかないという。
「練習では意識していればそれなりに打てるんですけど・・・ゲームに入るとなかなか・・・」
「まあ確かに実戦のバドミントンは、練習とは違うからね。」
「・・・やっぱりそうですよね。」
順平には、中村の気持ちが良くわかった。
それなりにバドミントンの経験を積んできた自分だって、理想的な打点で打てているかと言われれば怪しいものだ。
それを踏まえて、アドバイスを続けた。
「打点を高く、前に持っていくことの最大のメリットって何だろう?」
「ええと・・・角度がつけやすいことと、あと力を入れやすいことです。」
「正解。でも相手だってそうそう打ちやすい球を打ってはくれないよね。」
「はい。」
「だったら、低い打点や後ろの打点でも良いショットを打つ練習の方が大切なんじゃないかな。」
そこまで話した順平は、中村の後ろに、背後霊のように張り付く人影に気づいた。
よくよく見るとそれは・・・レシーブプリンセスこと優子だった。
(い、いつからいたんだ、この人は!!)
心の中で突っ込む。
そんな順平に、優子は突然話題を切り出してきた。
「・・・さっきの話だけど・・・」
「ああ、打点の話ですか?」
「・・・打点を高く前に置く一番の理由は・・・角度なんかじゃ・・・ない。」
「えっ?でも、どの教本にもそう書いてありますよ。」
そう答える順平に、優子はさらに話を続けた。
「・・・それも確かにあるけれど・・・最大の理由じゃ・・・ない。」
「じゃあ、何なんですか?」
どうやら、順平と中村の2人から注目されて、少し照れているようだ。
優子は1つ咳払いをしてから、口を開いた。
「高い打点や・・・前の打点で・・・取れない球を・・・取る・・・ため。」
ポイント
「打点を高く、前に持っていくよう意識することが大切」
バドミントンをしていれば、必ず聞くアドバイスですね。
ただ、練習とは違い、本番のゲームでは相手も打ちにくい球ばかり打ってきます。
順平君の言う通り、理想の打点をキープできないことがほとんど。
ですから、低く後ろの打点でも有効打を打つ練習はもちろん大切です。
しかし、それでも常に「より前に・より高く」打点を置くことを意識しなくてはいけません。
なぜなら、この意識がなければ取れる球も取れなくなるからです。
高い打点を意識していれば、厳しい返球にも、打点を下げることで対応ができます。
しかし、低い打点が前提のプレーヤーにはそれができません。
これでは、対応できる球はグッと少なくなってしまいます。
打点の前後もまったく同じ。
常に前の打点を意識していれば、振り遅れても打点を引いて対応できます。
しかし、もともと後ろにある打点を、さらに下げることはできないのです。
打点の意味をもう一度考え直して、「より高く・より前に」を意識するようにしましょう。
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