サーバー側のラリーの出発点「第3打」。
思い切りの良い3打目を打てない順平に声をかけたのは、サーブのクリスこと、クリス花柳だった。
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サーバー側のラリーの出発点「第3打」。
思い切りの良い3打目を打てない順平に声をかけたのは、サーブのクリスこと、クリス花柳だった。
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「は、はい。すみません。」
コンビを組んだ先輩にたしなめられる順平。
怒られたのは、3打目の返球。
「バドミントンでショートサーブを打ったときに、返ってくる確率の高いのは何だ?」
「はい。ロブかヘアピンかプッシュです。」
「そう。その中で一番注意しなきゃいけないのは?」
「プッシュです。」
「何で?」
「一番球の速度が早くて、すぐに対応しないと間に合わないからです。」
「それだけわかってて、何でそんなに対応が遅いんだよ!!」
先輩の言うことはもっともだ。
自分でもプッシュを待ち球の第1優先にしようと、意識はしている。
ただ・・・どこかで他の球にも注意が行ってしまい集中できていないのも確かだ。
気分を立て直そうと、水分補給をすることにした順平。
そんな順平に声をかけてきたのは、我がチームが誇るサーブのクリスこと、クリス花柳だった。
「順平くん、ずいぶん絞られたようだね。」
「あっ、クリスさん。お疲れ様です。」
「どうだい?僕で良ければ相談に乗ろうじゃないか。」
「あ、でも3打目のことなんで。クリスさんにはサーブのことで迷ったら頼らせていただきます。」
クリスの耳がピクリと動いた。
気に触ることがあった時のクリスのクセだ。
「君、それは失礼だろう!」
「えっ?僕、何か悪いこと言いました?」
「良いサーバーというのは、3打目に対しても責任を持てるプレーヤーのことだよ。つまり僕の得意分野だ。それを君は・・・僕をサーブだけの人みたいに・・・」
頬をふくらませるクリス。
どうやら、プライドを傷つけてしまったようだ。
だが、順平は落ち着いていた。
こんな時の対処法は心得ている。
「クリスさん、機嫌を直してくださいよ。僕が悪かったですってば。」
「今更謝っても遅いよ。」
「そんなぁ。クリスさんはサーブのスーパーエースなんですから、そんな小さな事で怒らないでくださいよ。」
「ほほう。サーブのスーパーエースか・・・良い響きだ。」
「そうですよ。だから僕なんかの小さな悩みはサックリ解決できますよね。」
「もちろんだ!」
スーパーエースの甘美な響きに、機嫌を直したクリス。
髪に手ぐしを通してから口を開いた。
「バドミントンで、3打目に対応する時の優先順位は知っているね。」
「はい。プッシュ・ヘアピン・ロブの順番です。」
「そうだ。要はその優先順位を守らざるを得ない環境を作れば良い。」
「・・・そんなこと、できるんですか?」
クリスはフフンと鼻をならした。
気分が乗ってきた時の彼の特徴だ。
「サーブを打ったら・・・足を横に開きたまえ。」
ポイント
サーブリターン対策の第1優先は何と言ってもプッシュ。
なぜなら、プッシュは他の球より速度が速いため、すぐに対応しないと間に合わないからです。
プッシュは横へ1歩踏み出す移動で対応することがほとんど。
ですから、左右への動きがしやすいよう、足を左右に開くとスムーズな対応ができます。
この方法には、プッシュへの対応が楽になることの他に、もう1つメリットがあります。
それは、強制的にプッシュ以外の球への未練を断ち切れること。
3打目への対応がうまくいかない人は、プッシュを優先するべきなのはわかっていても、他の返球を気にして注意が散漫になっています。
しかし、足を左右に開けば、前後に移動して対応する球への未練を断ち切ることができるのです。
どの球にでも対応できるようにと、どっちつかずの意識を持つと、結局どの球にも中途半端な対応をすることになってしまいます。
「実はこれだけ!サーブリターン対策。」でも紹介しているとおり、難しく考えすぎると3打目は難しくなります。
シンプル思考を心がけましょう。
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