クロスステップで失敗する人の盲点

クロスステップ

左右に振られてからのレシーブに苦戦する順平。

うまく返せない原因が、移動後の姿勢の崩れだということはわかったが、具体的な解決策は見いだせないでいた。

そんなある日・・・

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「くそっ!」


順平は悔しさで床を蹴った。

やはり、バランスを崩している。


左右に振られてからのレシーブが不安定な順平。

うまくいかない苛立ちが、集中力を奪い、他の部分にも悪影響が出てきている。


こういう時こそ一歩ずつ、基本に戻ろう。

安定しないのは、足腰の筋力が不足しているからだ。

だったら今は、下半身の強化トレーニングを継続するしかない。


そう思うことにした。

しかし、大会は目前に迫っている。

この不安材料を抱えたまま出場しなければいけないかと思うと、また焦りが頭をもたげてきた。


そんなある日、昼食から戻った順平は、体育館に人影を見つけた。

レシーブプリンセス優子と、新人の女子だ。


ぎこちないながらも、指導する優子の姿から、懸命さが伝わってくる。

どうやらクロスステップについて教えているようだ。


「そう・・・そうやって、足を交差しながら・・・横に移動するのが・・・クロスステップ。」

「はい。」

「・・・バドミントンの・・・基本だから・・・しっかり、練習・・・してね。」

「わかりました。」


クロスステップか。

今の僕の課題だな・・・


自分に重ね合わせながら、2人の話を立ち聞きする順平。

すると新人は、こんなことを口にした。


「あの、優子さん。1歩目って前から交差するんですか?それとも後ろですか?」

「・・・うん、最初は・・・後ろからが・・・良いと・・・思う。」


それを聞いた順平の頭に、ひらめきが走った。


「そうか、踏み出し方だ!!」


優子たちに駆け寄る順平。

そして、2人の手を握り、ていねいに頭を下げた。


「優子さん、ありがとうございます!新人ちゃんもありがとね。」

「・・・う、うん・・・」

「・・・よくわかりませんけど、順平さんのお役に立てたみたいで、良かったです。」


何が何だかわからず、キョトンとする優子たちに構わず、ステップの練習を始める順平であった。

ポイント

クロスステップは、バドミントンの中でも最も多く使われるフットワークの1つ。

時間を取って練習している方も多いのではないでしょうか。


足を交差しながら横に移動する、少しでもバドミントンをした人なら誰でも知っているこのステップ。

しかし、1歩目の足を前から出すか、後ろから出すかまでを意識している人は、どれだけいるでしょうか?

大した違いではないと思われがちですが、これが次のプレーに大きく影響します。


前から踏み出す「フロントクロスステップ」は、歩幅を大きく取れるため、移動を素早くできるのが特徴です。

しかし、安定性に欠け、バランスを崩しやすいという欠点もあります。

一方、「ビハインドクロスステップ」は、フロントクロスステップに比べて移動スピードは落ちますが、体勢を崩しにくいメリットがあります。


初心者は、球に追いつきたい一心で、すべてフロントクロスステップで対応しがちです。

しかし、状況も考えずに一辺倒なステップを使うのは感心できません。

状況に応じて、使い分けられるようになってこそ、ゲームを優位に進められるのです。


ちなみに上級者は、最初はフロントクロスステップ、移動の最後だけバッククロスステップというように、スピードと安定性を両立したステップを使います。

2種類のクロスステップを使い分けられるようになったら、挑戦してみてください。


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