他チームとの合同練習でゲームにのぞむ順平と大垣。
どんなコースを狙っても素早く対応してくる厄介な相手に手を焼く。
このままではますます不利な戦況に・・・その時だった。
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他チームとの合同練習でゲームにのぞむ順平と大垣。
どんなコースを狙っても素早く対応してくる厄介な相手に手を焼く。
このままではますます不利な戦況に・・・その時だった。
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これだけ手を尽くしても、相手は平然としている。
攻撃力は普通だが、2人揃って打球への反応速度が半端ではない。
その上、フットワークも良く気がつけばホームポジションに戻っているため、隙がまったく見つからない。
勢いに乗れず苦しい時間帯が続く。
少しずつミスが出始めた順平たちが3点差をつけられた所で、1回目のインターバルを迎えた。
「どうしよう順平ちゃん。このままじゃお先真っ暗だよ。」
「大垣さん、そんな弱音を吐かないでくださいよ。バドミントンは気力が大事って言ってたじゃないですか。」
「そういう順平ちゃんだって暗い顔してるよ。あ、順平ちゃんって倉井だったよね。『暗い順平』・・・なんちゃって。」
「『倉木』です!!60秒しかないインターバルをムダに使わないでください!!」
「・・・ごめんなさい・・・」
彼なりに重い空気を振り払おうとしているのだろう。
ただ・・・ダジャレは相変わらず笑えない。
大垣は腕まくりをして言った。
「よ~し。相手が追いつけないくらいスピーティな攻めで黙らせてやる!」
その言葉を聞いた順平は、ふと思い直した。
確かに大垣さんの攻撃力はピカイチだ。
でも・・・本当にそれが通用するのだろうか。
そして、ためらいがちに口を開いた。
「大垣さん、ここは少しだけ僕にやらせてくれませんか?」
「えっ?順平ちゃんが?」
「僕だって、いつまでもバドミントン素人じゃいられませんから。」
やがてインターバル終了が告げられる。
うなずいては見たものの、順平が何をするのかわからない大垣は不安を隠せない。
そしてゲームが再開される。
順平は、スローペースの返球でゲームを展開した。
しかし、ていねいにコースを突いているので打ち込まれることはないが、とても相手を崩せるとは思えない。
イライラしながらその様子を見守る大垣。
(順平ちゃん、そんなトロトロしてないでグワッといこうよ・・・)
大垣の心配をよそに、順平のスローペース作戦はジワジワと効果を出し始めた。
相手は返球のテンポを狂わされ、プレーに乱れが出るようになった。
そして、相手のスマッシュを順平がドライブで返したシーンでのこと。
順平がゲームの流れを支配していることがわかる出来事が起きた。
順平の返球をプッシュでたたみかけようとする相手前衛。
ここは前衛をかわしてクロスで後衛に振るのがセオリーだが・・・順平は先ほどまで前衛がいた場所に打ち返した。
すかさずポジションに戻ろうとしていた前衛は、完全に対応が遅れた。
相手の反応の速さを逆利用した形だ。
たった1人で相手を圧倒する順平の姿に、大垣は思わず唸った。
「今回は・・・やられたよ、順平ちゃん。」
ポイント
打球への反応が速いプレーヤーは、定位置(ホームポジション)に戻るのも速いものです。
そのため、返球のテンポが遅いと、足が止まった状態でレシーブをすることになり、リズムが狂います。
また、今回の順平くんがやったような「相手がいた場所へそのまま打ち返す」のも有効です。
もちろん相手も次第に慣れて、対応してくることでしょう。
そんな時は、逆に一気に攻め立てることで立ち直る芽を潰します。
「対応された」とあきらめるのではなく、新しい弱点を探し攻め続けることが大切です。
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