「シャトルの下に入れ」に潜む過ち

シャトル

「いち早くシャトルの落下点に入りなさい。」

バドミントンを始めたばかりの初心者が、耳にタコができるほど教えこまれる基本だ。

順平もそれが当然だと思っていた。

だが、それが自らを勝てないプレーヤーにしていることに気づいてはいなかった。

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「しっかりシャトルの落下点に入って。そうすればしっかり打てるから。」


今日の順平は、初心者メンバーのコーチをしている。

彼らが少しでも早く上達し、バドミントンの楽しさを知ってくれるように。

1つ1つていねいに教えていく。


どれくらい指導をしていただろうか。

やがて先輩が声をかけてきた。

自分のゲーム練習の番が回ってきたようだ。


「順平お疲れ。あとは俺が引き継ぐ。ゲーム練習行ってこいよ。」

「あっ、ありがとうございます。」


後輩も見ていることだし、無様なゲームを見せるわけにはいかないぞ。

両手で頬を叩き、気合いを入れてコートに入る。


人に教えるくらいならその時間でもっと自分の練習をしたい。

そう思っていた。


しかし、いざ教えてみると自分の理解が浅かったこと、忘れかけていたことが多いのに驚いた。

そういう意味では、これも有意義な練習なのかもしれない。


今日教えた「シャトルの落下点にしっかり入ること」も最近忘れていたことだった。

基本は大切だと教えているのに、我ながら恥ずかしい。

よし、今日はそのことを意識してみよう。


今日のパートナーは、チーム1のレシーブ名人、レシーブプリンセスこと優子だ。

ちゃんとシャトルの下に入れているかチェックしてもらおう。


(落下点に入る・・・落下点に入る・・・)


強く意識してレシーブにのぞむ順平。

いつもよりしっかりシャトルを捉えてられている気がする。


ところが!

いよいよ気分も乗ってきたと思った頃、優子がゲームを止めた。


「いつまでも・・・素人気分じゃ・・・ダメ・・・」

「えっ?」

「シャトルの落下点にしっかり入るのは・・・バドミントン初心者の頃だけ。」


気のせいだろうか、優子は少し怒っているようにも見える。

いつも大人しい優子の意外な行動に、動揺を隠せない順平であった。

ポイント

シャトルの落下点にしっかり入ると打点が取りやすいため、ショットのミスが減ります。

ですから、まだ初心者が基本を覚えるという点では正しい教えです。


しかし、想像してみてください。

シャトルの真下に入るということは、足の位置もシャトルの真下にくることになります。

つまり、頭から足まで一直線の棒立ちの体勢です。

この状態から、素早いステップが踏めるでしょうか。

・・・無理ですよね。

いくら良いショットが打てても、後が続かなくては意味がありません。


打った後に素早く移動するには・・・そう、前傾姿勢です。

ということは、打点を少し前にして、足はシャトルより後ろに置くのが正解。


ストロークの基本が固まったら、このことを意識してみましょう。

最初は感覚の差に戸惑うことがあるかも知れませんが、次の動きがグッと楽になりますよ。


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