数々の失敗やチームメイトのアドバイスで、少しずつバドミントンの基礎力を向上させてきた順平。
いよいよ実戦的なテクニックを習得していく時期がやってきた。
今回の課題は上級テクニック「スピンヘアピン」。
参考書を片手にチャレンジしてみるが・・・
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数々の失敗やチームメイトのアドバイスで、少しずつバドミントンの基礎力を向上させてきた順平。
いよいよ実戦的なテクニックを習得していく時期がやってきた。
今回の課題は上級テクニック「スピンヘアピン」。
参考書を片手にチャレンジしてみるが・・・
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そうつぶやいた順平は、頭をかいて参考書を置いた。
何度読んでもできる気がしない。
チームの中でも数人しかできない高等テクニック。
だが、もっとうまくなるためには挑戦しなければ。
こんなとき、真っ先に思い浮かぶのは前衛マエストロ元木だ。
彼のスピンヘアピンは、まさに芸術と呼ぶにふさわしい。
フォアでもバックでも、順切りでも逆切りでも、そつなくこなす。
回転が強く、コルクが上を向いた状態で落ちてくるので、これを打たれたらもうお手上げである。
(コルクをこするように、コルクをこするように・・・)
何度も念じながら打ってはみるのだが、うまく回転がかからなかったり、コントロールが乱れたり、空振りしてしまったりする。
ゲーム練習中もそのことが頭をかすめてしまい、集中できず、パートナーから文句が出る始末だ。
「は~、元木さんだったらこんなことで迷わないんだろうな。悩みとかなさそうだし彼女もいなそうだし牛乳飲めなそうだし・・・」
「ずいぶんな言われようだな。」
急に声がして驚いた順平。
気がつくと、背後に腕を組んだ元木が立っていた。
「も、元木さん。いつからいたんですか?」
「お前が何かアッチの世界に行っちゃったところから。」
独り言を聞かれたのは不覚だったが、良いタイミングで現れてくれた。
順平はさっそく相談を持ちかけた。
「・・・というわけなんです。すっかり行き詰まっちゃって。」
「スピンヘアピンねぇ。あっ今日水曜日だった。魚が安いし買いに行こうっと。」
「ちょっと聞いてるんですか?チャチャッと打てるようにしてくださいよ。」
適当な態度に腹が立った順平は声を荒らげてしまった。
そんな元木からの返答は意外なものだった。
「よしっ!じゃあ今からチャチャッとできるようにしてやるよ。」
「えっ?」
「とりあえずコートに入りな。」
まずは自分がやっている練習を見てもらう。
やはり、何度やってもいつも通り。
最後は力みすぎて空振りをしてしまった。
そこで元木の指導が入った。
「まずラケットを立てて構えろ。」
「えっ?は、はぁ。」
「で、コルク側面の丸みをなぞるように打つんだ。はい、以上。」
「えっ?それだけですか?」
「ほれっ、早くしろ。」
それだけでできれば苦労しないよ。
心の中で愚痴りながらも、言われたことを実践する順平。
すると・・・打ったシャトルには、元木ほど強くはないが、しっかりとした回転がかかった。
「で、できた。」
「なっ、そう難しくないだろ?難しく考えすぎるからダメなんだ。」
ポイント
数あるバドミントンのショットの中でも高等テクニックに入るスピンヘアピン。
しかし、今ではジュニアでも打つようになってきました。
使いこなせば、わかっていても返せない一撃必殺のショットにもなるので、ぜひとも身につけておきたいものです。
それでは今回のポイントです。
まず元木が指示したのはラケットを立てること。
スピンをかけよう、相手コートに入れようという意識が強すぎるとラケット面が下がりがち。
コルクの側面を切れないためうまく回転がかかりませんし、ネットにかかりやすくなります。
もう1つはコルクの丸みをイメージすること。
より深くコルクを意識しすることで、しっかりとシャトルを捉えるスイングができるようになります。
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