ダッシュ力が20%アップする1歩目のコツ

フットワーク

バドミントンのフットワークは1にも2にもスタートダッシュ。

陸上競技と違い、狭いコートでスタートの遅れを取り戻すのはほぼ不可能だ。

後輩のフットワーク指導に苦労する順平に、レシーブプリンセス優子は・・・

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「遅いってば鈴木くん。そんなんじゃネット前に落とされたら追いつけないよ!」

「無茶言わないでくださいよ。俺、順平さんみたいに足速くないですって!」

「そんなこと、相手が配慮してくれるわけないだろ!!」


珍しく声を荒げる順平。

順平が指導しているのは、新人の鈴木。

これまでも何度か指導しているが、気が強く言い争いになることも珍しくない。


きつく言っても反発されるだけだ。

順平は深呼吸して気持ちを落ち着かせた。


「いいかい鈴木くん。バドミントンはスタートダッシュが遅かったら、それは大きな弱点なんだ。」

「いや、だからわかってますって、そんなこと。」

「・・・足が遅いっていうなら、相手の動きを読んでもっと速いスタートを・・・」

「俺、順平さんより速くスタート切ってるつもりですけど。」


(あぁ、彼には何を言っても届かないのかなぁ・・・)


諦めかけたその時、順平の肩が叩かれた。

そこにはニコニコ顔のレシーブプリンセス、優子が立っていた。


「あっ、優子さん。」

「見て・・・順平・・・くん・・・新しい・・・T・・・シャツ・・・」


どうやらお気に入りのTシャツを見せたいらしい。

全面に力強い書体で「焼肉定食」とプリントされている。

いつも思うことだが、優子のセンスは理解できない。


「すみません。今指導の最中でして。」


優子はそう告げた順平の言葉を遮り、鈴木に声をかけた。


「鈴木・・・くん。うまく・・・いって・・・ない・・・の?」

「だって俺、順平さんほど足速くねぇっすもん。」

「じゃぁ・・・順平・・・くんの・・・ダッシュ・・・見て・・・みよ?」

「えっ?あっ、はぁ。」


優子に頼まれ、鈴木にスタートダッシュを見せることになった順平。

手本なら何度も見せている。

どうせ無駄だろう。

そう思いつつ何度かダッシュを見せ、2人を見ると・・・


「優子さん。やっぱ俺と順平さんじゃ才能が違うんですって!」

「・・・順平くんの・・・歩幅・・・見た?」

「えっ?歩幅ですか?うーん、1歩目が俺に比べて小さいような・・・」

「・・・やってみて。」

「1歩目を小さくってことですか?・・・わかりました。」


コートに入った鈴木は、それまで拾えなかったネット際のシャトルを鮮やかに打ち返した。

よほど嬉しかったのだろう。

鈴木は優子の手を取ってはしゃいだ。


「優子さんできましたよ!!」

「・・・よかった・・・ね。・・・またわからなかったら・・・何でも・・・聞いて・・・ね。」

「そうっすね。順平さんよりずっとわかりやすいや。あの人、自分ができてることも教えられないですもんね。」


ガーン!!


心をえぐる鈴木の厳しい一言によろめく順平。

力ない足取りで、行く宛もなく体育館をさまようのであった。

ポイント

私たちはプレーの際、常にコートから「床反力」という力を受けています。

例えばジャンプをする時、下に向かって床を蹴りますよね。

すると、床から上向きの力が働き、私たちは上に飛べる。

私たちのアクションに対して床がつくる反対方向の力、これが「床反力」です。


これを踏まえてバドミントンのスタートダッシュを考えてみましょう。


床反力は蹴り足だけではなく、踏み出した足にもかかります。

前に踏み出した足にかかる床反力の方向は後ろ向き・・・つまり進行方向と逆向き。


つまり、大きく強く踏み出せばそれだけ強いブレーキがかかることになります。

ですから、順平くんのように1歩目を狭くすることで床反力を小さくすることができるのです。


2歩以上動かなければいけないときは、1歩目は小さく。

覚えておきましょうね。


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