これがダブルス上級者の駆け引きだ

ダブルス

チーム内の上級ペアを相手にした、ダブルスのゲーム練習。

駆け引きが全く通じないことに、己の未熟さを痛感する。

そんな順平に元木は・・・

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「甘いぜ順平。誰がそんな手に乗るか!」

「うげっ。」


ストレートで展開していたラリーを、バックハンド側へのクロスで切り返した順平。

これなら相手のエースショットである、フォアのカットも封じられるはずだ。


だが、相手はチームでも指折りのダブルスペア。

順平の裏をかく返球であしらわれてしまった。


「まだまだだな。そんな単純なバドミントンで勝てる相手だと思うなよ。」


ゲームが終わり、得意げな顔でコートを去るその後姿には、強者の風格が漂っていた。


(はぁ、手も足も出なかった。僕もまだまだだな。)


今日は参加者が少ない。

思ったより早く練習が進む。

余った時間でジュースを賭けた勝ち抜き戦をやることになった。


さて、誰と組もうかな・・・

相手を探していると、ちょうど1人でいる前衛マエストロ元木を見つけた。


「元木さん。僕と組んでくれませんか?」

「お?順平か。別に構わないぞ。」


組み合わせに恵まれ、トーナメントを順調に勝ち抜く、順平・元木ペア。

ついに決勝までやってきた。


相手は・・・奇しくも先ほど煮え湯を飲まされた上級者ペアだ。


先ほどの敗戦を思い出して、顔をしかめる順平。

その様子に、元木が声をかけてきた。


「あぁ、お前、さっきあいつらに負けてたな。」

「・・・見てたんですか?」

「まぁな。でも心配するな。お前に上級者のバドミントンってやつを教えてやるよ。」


ゲームが始まった。

得意のカットが冴え、序盤からリードを奪う相手ペア。

4点差をつけられ、第1セットのインターバルを迎えた。


フォアカットを封じるため、バック側への配球を提案する順平。

しかし、元木は首を縦には振らなかった。


「まぁ見てろって。」


インターバルが終わり、ゲームが再開される。

もう勝ちを確信しているのだろうか。

相手の顔には余裕が見える。


やがて元木にシャトルが飛んだ。

やっぱりバック側を狙った方が・・・

そんな順平の思惑を無視するように、元木が選んだのは・・・アタッキングロブだった。


前衛と後衛の間を狙う絶妙のコントロール。

しかし、コースは相手のフォア側だ。


(カットが来る!)


思わず身構える順平。

しかし、どうしたことかミスショットになってしまった。


その後も同じようなことが数回続く。

積極的なショットが減りだし、安全策の無難なリターンが増えてきた。


徐々に詰まる点差。

元木は獲物を狙う獣のように舌なめずりをした。


「へっ、ちょっとくらい良いカットが打てるくらいで俺に勝とうなんて甘いぜ。」

ポイント

バドミントンは駆け引きのスポーツ。

特にダブルスは、いかに相手の裏をかくかが、勝敗に大きく関わってきます。


この駆け引きで、一番良く使われるのが異なる球種の組み合わせ。

ストレートとクロス・クリアとドロップなどは皆さんもよく使っているのではないでしょうか。


球種の組み合わせによる駆け引きは、もちろん効果的です。

しかしせっかくですから、もう1歩レベルを上げた駆け引きをマスターしましょう。


それは、「相手の得意ショットを潰す駆け引き」です。


今回のストーリーでは、フォアのカットが得意な相手に、順平くんと元木がそれぞれの駆け引きを展開しました。


順平くんが取ったのは、相手に得意ショットを打たせない駆け引き。

確かにバック側に打てばフォアハンドでのカットは防げるでしょう。

でも、これでは少し消極的です。


そこで、元木は別のアプローチを取りました。

アタッキングロブで、無理をさせてミスを誘う駆け引きです。

相手はこれくらいなら打てると考え、不利な体勢から打ってきます。


アタッキングロブは、高く放物線を描く通常のロブと違い、直線的な軌道で前衛と後衛の隙を突きます。

そのため、ショットの威力を半減させ、さらにはミスを誘うことができたのです。


バドミントンには、それぞれのショット・プレーに対して同じように相手に無理をさせるプレーがあります。

こういった相手の得意技を利用する駆け引きを覚えると、ゲームをグッと優位に進めることができますよ。


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