バック奥からのドロップをネットしないコツ

ドロップ

一本調子のラリーに緩急をつけるドロップ。

これを効果的に使えれば、相手を崩して隙を作るバドミントンができる。

ひと味違う後衛を目指し、さっそくゲーム練習に取り入れた順平であったが・・・

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(よし、今だ!)


鋭いスイングから力を抜いて、ドロップで相手のネット際を攻める順平。

・・・だが、残念ながらシャトルはネットにかかってしまった。


(ちぇっ、ギリギリを狙いすぎたか・・・)


パートナーの冷たい視線を受け流し、ポーカーフェイスを保つ。

まだゲームは始まったばかり。

次で挽回すれば良いのだ!


しばらくして、また打ち合いの展開になった。

ネット周辺ががら空きだ。


(これを決めなきゃ男じゃねえ!)


意味のわからない気合いを入れ、再びドロップの体勢に入る順平。

今度は少し強めに打った。

が、しかし・・・シャトルは再びネットにかかってしまった。


なんでーさ!!

パートナーの舌打ちが、胸に刺さる。


ゲームが終わる。

勝つには勝ったが、ドロップがさんざんだったため、素直に喜べない。

そのときだった。

脳天気な声が聞こえてきた。


「おんやぁ、順平君じゃないかぁ!」


順平は頭を掻いた。

後衛のスペシャリスト大垣だ。

・・・どうしてこの人は1人になりたい時に限って出てくるんだ。

決して悪い人間ではないのだが、少々うっとうしい。


「ドロップのことで悩んでるみたいだねぇ。まぁドロップでも食べなよ。おいしいよ。」

「そのオヤジギャグ、前にも聞いたことがあります。ネタ切れなんですか?」

「ギクッ」


大垣とのやりとりで、幾分心がほぐれた順平。

先ほどのゲームでのことを相談してみることにした。


ギャグの切れ味はさっぱりだが、バドミントンの腕だけは確かだ。

きっといいアドバイスをくれるに違いない。


「なるほど。ホントにドロップで悩んでたんだね。適当に言ったのに当たるもんだ。」

「・・・適当かよ。」


大垣はコートをキョロキョロ見回していた。

そして、口を開いた。


「かわいそうに。あそこでやってる子のドロップはネットにかかって失敗するね。」

「えっ?まだ打ってもいないのに、なんでそんなことがわかるんですか!?」

「・・・まぁ見てなよ。」


それからしばらくして、打たれたドロップは大垣の予言通りになった。

狐につままれた気分で大垣を見る順平。

彼は独り言のようにつぶやいた。


「あそこからドロップでネット際を狙うのは、やめた方がいい。」

ポイント

ドロップを使いこなせれば、後衛の攻撃の幅は一気に広がります。

しかし、1カ所だけドロップを打つには向かない場所が存在します。

それが、「バック奥」。


バック奥からのショットは、後ろに下がりながら打つことが多いものです。

下がりながら打てば、パワーは相殺され、シャトルの飛距離が落ちてしまいます。

そのため、ネットギリギリを狙えば、順平君と同じ結果をたどることになるのです。


特に追いつめられた時などは、厳しいコースを突いて形勢逆転を狙いたくなるもの。

しかし、それで失敗しては元も子もありません。

それに、たとえ成功してもネット際に返されることが多く、万全の体制で対応できないリスクもあります。


そんなときに重宝するのが、軌道の低い直線軌道を描くドロップです。

これなら多少距離が落ちてもネットになりません。

さらに、相手も距離のある返球をしてくることが多いので、こちらも余裕をもって次の体勢に入れます。


なぜそのバックハンドは弱くなってしまうのか?」でも紹介したとおり、下がりながら打つショットは本来の威力を出しにくいもの。

しかし、少し工夫をすればその欠点をカバーすることができるのです。

ちょっとしたことですが、有利なバドミントンをするためのテクニックとして覚えておくと良いでしょう。


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