速い球をコントロールする方法

レシーブ

スマッシュ自慢の新人に、手も足も出ず悔しい思いをする順平。

先輩のメンツ丸つぶれである。

誰もいなくなった体育館で、一心に素振りをしていると・・・

スポンサード リンク


それは、先日チームに加入した新人との、ゲーム練習でのことだった。

まだ入って日が浅いのに、チーム内での彼の評判はあまり良くない。


合流初日も、金髪・ピアスでガムをクチャクチャ噛みながらやってきた。

キャプテンたちから何度か注意はされていたが、改める気配はない。


もちろん、バドミントンはカッコでするものではない。

しかし、ある程度の節度は必要だろう。


(ここは、1回先輩としての威厳を見せてやらないと・・・)


順平はギュッとラケットを握りしめ、コートに入った。


しかし、ゲームが始まるなり、順平の目は点になった。

彼の打ち出すスマッシュがあまりに速かったため、空振りしてしまった。


(油断していたとはいえ、当てることすらできないとは・・・コイツ、実力はあるな。)


気持ちを引き締め直した順平。

だが、結果は同じだった。


空振りこそなくなったものの、レシーブのコントロールがまるで定まらない。

振り遅れれば右に飛んでしまうし、速すぎれば左に飛んでしまう。

結局、手も足もでないまま負けてしまった。


『順平さんって・・・大したことないんですね。』


あの時言われた後輩の一言が、今でも頭の中を巡る。

悔しさを振り払うために、無心に素振りを繰り返す順平。

誰もいない体育館に、ラケットの風切り音だけが響いていた。


手のひらの痛みを感じて、我に返る。

豆がつぶれていた。


(そろそろ帰ろうか。)


考えてみれば、1人でいくら素振りをしても、速い球をレシーブできるようにはならない。

また今度、強打が打てる人に付き合ってもらおう。


用具を片付けようとコートを離れた、ちょうどその時だった。

先ほどまで全く気づかなかったが、扉の陰から誰かがこちらを見ている。

我がチームが誇るレシーブプリンセス優子だった。


「あのぉ、優子さん・・・いつからそこに・・・」

「・・・順平・・・くんが・・・素振りはじめた・・・ときから。」


特に話題のなかった順平は、優子にアドバイスをもらうことにした。

チームNo.1のレシーバーである彼女なら、何か良い助言をくれるかもしれない。

しかし、どこかで適切な回答を期待していない部分もあった。


(どうせ素振り見ただけじゃ、何もわからないよな・・・)


だが、優子はそんな順平の予想を裏切った。


「それじゃ・・・いつまでたっても・・・とれないと・・・思う。」

「えっ?素振り見ただけで何かわかったんですか?」


驚く順平に、優子は言った。


「速い球を・・・拾うなら・・・線で捉えるスイングを・・・しなきゃ。」

ポイント

バドミントンのスイングは、体の中心を軸にした回転運動が基本です。

そのため、ラケットヘッドは弧を描く軌道をとります。


しかし、このスイングには、1つ弱点があります。

それは、インパクトのポイントが少しずれただけで、コントロールが乱れてしまうことです。


弧を描く軌道でラケットを振ると、ラケット面は常に角度を変えます。

そのため、正確なコントロールができるタイミングはほんの一瞬。

要するに、正しくシャトルを飛ばせるインパクトポイントが1点しかない「点のレシーブ」をしている状態です。

これを速い球に合わせるのは至難の業。


ではどうするか?

ラケット面の角度が変わらなければ良いのです。

要するに、肩・肘・手首を柔らかく使って、ラケットヘッドが直線軌道を描くように(水平移動するように)振る「線のレシーブ」をするのです。

すると、スイングの始まりから終わりまで、ラケット面は常に一定の角度を保ちます。

そのため、多少タイミングがずれても、コントロールを確保できるのです。


このスイングは遠心力を使えないため、ヘッドのスピードは少し落ちます。

しかし、強打への対応などコントロールが乱れやすい時には重宝します。

覚えておいて損はありませんよ。


スポンサード リンク

関連記事