主導権を取るバドミントンサーブの特徴

サーブ

最近、サーブで思うような結果が出せない順平。

打てば打ち込まれることが続くうちに、少しずつサーブを打つことが怖くなってきた。

そんな順平に、サーブのクリスこと、クリス花柳は・・・

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(よし、今度こそ・・・)


順平は空をにらむと、ラケットを握り直した。

大きく深呼吸して、リラックスできたのを確認してからサーブの体勢に入る。


順平が打ったのはショートサーブ。

バドミントンの教本を思い返して、自分なりのポイントを確認する。


短く、ネットから浮かないように。

目線やフォームで相手に読まれないように。

あのレシーバーはバックハンドが苦手なはずだ。


だが、シャトルがネットを越えるか超えないかというところで、相手は強引にプッシュを打ってきた。

足元を突く角度のあるプッシュに、反応できない順平。


(またか・・・)


順平の胸に、暗雲が立ち込める。

最近、サーブで思うような結果が出せない。

コースを工夫し、サーブ練習の量も増やした。

・・・それでも打ち込まれてしまう。


サーブでリズムを作れなければ、ゲームの流れもよどんでしまう。

結局、順平たちは良いところなく負けてしまった。


ゲームが終わって汗を拭いていると、今回パートナーを組んでくれた後輩が声をかけてきた。


「順平さん・・・頼みますよ。」


後輩の一言が今も耳に残っている。

やりきれない気持ちが、口に出てしまう。


「僕がサーブを決められないから・・・」


誰にも聞かれないよう、小さな小さな声で言ったつもりだった。

だが、その声は思ったより大きかったようだ。


隣で次のゲーム練習の準備をしていた、クリス花柳が声をかけてきた。

どうやら順平たちのゲームをずっと見ていたようだ。


「いや、それは違うな。後輩君が怒っていたのはそういうことじゃない。」

「え?じゃあどういうことなんですか?」

「それは自分で考えたまえ。」


そう言って、さっさとコートに入ってしまうクリス。

そんなクリスに不満の感情がフツフツと湧き上がる。


(言うだけ言っておいて・・・)


コートが埋まってしまいやることのない順平は、クリスのゲームを見ることにした。

何か自分のサーブの参考になることがあれば良いが・・・


相手は強打がウリの超攻撃型。

甘いサーブを打てば、猛ラッシュを仕掛けてくるサーバー泣かせのコンビだ。


そんな相手に、クリスはどう立ち向かうのだろう。

きっと、自分より数段上のコントロールで、苦手コースを突くだろうな。


だがゲームが始まると、順平の予想は完全に裏切られた。


スピード感のあるショートサーブ。

高く奥まで飛ぶロングサーブ。

まるで打てるものなら打ってみろと言わんばかりだ。


当然、相手は強打で返してくる。

だが、シャトルが飛んだ先にはかならずクリスのパートナーがいて、きっちりと対応する。

まるで、相手のサーブリターンが読めているようだ。


ゲームが終わり、パートナーと談笑するクリス。


「クリスさん勇気ありますね。あの2人にあんな挑戦的なサーブを打つんだから。」

「どんなにコースが良くても、こわごわ打つサーブなんてチャンスボールだからね。強気にいかないと。」

「あれくらい思い切りの良いサーブを打ってもらうと、こっちも楽ですよ。」


その会話を聞いて、順平は自分のサーブに足りないものを悟るのだった。

ポイント

バドミントンを有利に進めるため、サーバーに最も必要なもの。

それは勇気です。


ストーリーでクリスが言っている通り、こわごわ打たれたサーブは、いくらコントロールが良くてもチャンスボールです。

プッシュが怖くて短く置きにいくショートサーブは、スピードがなくネットから浮いてしまうので、足元の拾いにくいところに打ち込まれてしまいます。

同様に、スマッシュが怖くて高さと距離を抑えたロングサーブは、相手との距離が離せず近距離からの攻撃を受けることになります。


どっちつかずのサーブは、返球への対応を困難にするばかりか、弱気な印象でパートナーの戦意を失うことにもなりかねません。


バドミントンに絶対はありません。

どんなに考えて、最良のサーブを打てたとしても、やられるときはやられます。

サーブは打たれて当然、と考え思い切りよく打ったほうが、良い結果が出るものですよ。


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