反撃につながるロブはこう打て!

ロブ

後輩と、前衛マエストロ元木の試合を観戦する順平。

強敵を相手にハイレベルな攻防が繰り広げられる。

そこで順平たちが見たのは・・・

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よく晴れた週末。

順平たちは、地区のバドミントン大会に出場していた。


残念ながら1回戦で負けてしまった順平は、他のメンバーたちの応援に。

チームメイトが1人でも多く、1つでもコマを先に進めらるよう、後輩たちと声を張り上げる。


やがて、前衛マエストロ元木のペアがコートに立った。


「元木さーん!ファイト!!」

「いつもどおりいきましょう!!」


順平は、胸の高鳴りを感じた。

相手は元木と並び、地区トップクラスの前衛と言われるプレーヤー。

まだ2回戦だが、事実上の決勝戦となる注目の1戦だ。

そのゲームを、後輩にポイント解説しながら見守る順平。


「バドミントンは上げたら負けだからね。元木さんがどんなプレーをするか、よく見てなよ。」

「はい!!・・・ってあれ?順平さん、元木さん上げてますよ。」


後輩が言うとおり、元木は高いロブを多用している。


自分の解説をいきなりひっくり返され、少し動揺した順平。

それを悟られないよう、1つ咳ばらいをして言い直した。


「まぁ・・・相手もレベル高いからね。厳しい時はロブで体勢を立て直す。これもバドミントンの基本だよ。」

「なるほど。」

「ほら。相手もロブで息を整えているだろ?奥までしっかり飛ばすのがコツだよ。」


それからしばらくして、後輩がまた順平に声をかける。


「あの、順平さん。元木さんのロブって、相手のロブと何か違うんですか?」

「えっ?」

「相手がロブ打っても、元木さんたちは攻めつづけてるじゃないですか。でも、元木さんがロブを打つと、相手の攻撃が止まります。」

「えっ?ホ、ホントだ。」


確かにそうだ。

元木も相手も、エンドラインぎりぎりの、深いロブを打っている。

だが、後輩の指摘通り、その後の展開は大きく違っている。


「ねぇ順平さん・・・何が違うんですか?」

「ゴメン。ちょっと黙っててくれるかな。」


後輩の問いかけを遮り、もう一度ゲームに集中する順平。


距離も、フォームも・・・特に大きな違いはない。

一体何が違うんだ。


それからしばらくして、後輩がまた声をかけてきた。


「あの、順平さん・・・」

「だからちょっと黙っててって言ったでしょ!!」

「元木さんのロブなんですけど・・・相手より高くないですか?」

「えっ?」

「距離は同じですけど、元木さんの方が、相手より高い放物線を描いているような・・・」


その言葉を聞いた順平は、思わず立ち上がった。


「そうか!高さだ!!高さだよ!!」

ポイント

ロブの基本は、しっかりと奥まで返すことです。

しかし、それだけでは、ロブ本来の役割は全うできません。


ロブ本来の目的、それは自分たちの体勢を立て直すことではなく、相手を後ろに追いやることで、攻めを断ち切ることです。


そのために大切になってくるのが、「ロブの高さ」。

同じ距離でも、その軌道が低ければ、相手の後衛はそれほど下がらなくても拾えてしまいます。

それでは、相手の攻撃の手を緩めることはできません。


そして、高いロブにはもう1つ、大切な役割があります。

それは、相手前衛の意識を後方に持っていくことです。


低いロブでは、相手の前衛は奥に飛んでいないと思うため、ネット前から動いてくれません。

しかし、高いロブであれば後衛のカバーをしようと後ろに下がり、前にスペースができます。

これによって、奥に振ってから手前に落とすという、攻守交替の起点が作れるのです。


シャトルを上げないというバドミントンの鉄則の中、なぜあえて高いロブを打つのか。

それは、逃げるためではありません。

攻撃のためです。


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