先輩から押された前衛失格の烙印。
その一言に強いショックを受ける順平。
そんな彼に前衛マエストロ元木がしたアドバイスは・・・

ゲーム練習が終わり、その先輩はポツリとつぶやいた。
「動きもショットも悪くはないけど・・・お前が前衛に入ってても、全然怖くないんだよね。」
(ガーン)
順平はガックリとヒザをついた。
相手にプレッシャーをかけることは、バドミントンダブルスにおける前衛の最重要任務。
それだけに『怖くない』という評価は、前衛失格と同義語。
(僕は・・・ダメ前衛なのか・・・)
バドミントンを始めて1年以上。
これほどのショックは久しぶりだ。
「・・・ぺい、順平。」
慌てて向き直ると、そこには少し不機嫌な顔をした前衛マエストロ元木が立っていた。
何度か呼ばれていたようだ。
「聞いたぞ順平。前衛に入っても怖くないって言われたんだって?」
「うぅ・・・」
「確かにお前の前衛からプレッシャーは感じられんわなぁ。」
涙目になる順平。
いじめすぎたと思ったのだろうか。
元木は少しだけ口調をゆるめた。
「なぁ順平。前衛のプレッシャーって何だと思う?」
「ええと・・・」
「おいおい、わからないものは出しようがないだろう。」
少し考えた後、順平はおずおずと口を開いた。
「多分、甘い球がきたら打ち込むぞっていうことだと思います。」
「なんだ、わかってるじゃねぇか。じゃあそれを相手に見せれば良いんだよ。」
「でも・・・」
コートではゲーム練習が始まった。
それを見た元木は順平の肩を叩いた。
「具体的にどうしたら良いかわからねぇって顔だな。」
「はい。」
「だったら今、手前のコートに入ってる山本と井口を見てみな。」
「彼らが・・・何か?」
「わからないか?どっちがプレッシャーをかけている前衛か。」
「山本くんですよね。井口くんやりづらそうだ。でも2人の違いは・・・わからないです。」
「はー、お前ほんとにバドミントンのセンスねぇなぁ。」
「うぅ・・・」
「よーく見ろ!ラケットだよ、ラケット。」
「・・・山本くんはラケットを・・・あっ!」
■■■ポイント■■■
前衛が相手にプレッシャーをかける第一歩。
それは、「常にラケットを立てること」です。
こう書いてもあまり実感はわかないかも知れませんが、実際にコートに入ればその違いが良くわかります。
ラケットを立てるということは、常に上からシャトルを叩く準備があることを相手に見せることです。
もちろん、前衛のヘアピンや後衛のクリアなどでも点は取れます。
しかし、攻撃性=プレッシャーの大きさでは、上から打つショットに劣ります。
プッシュで打てない球が続くとラケットを寝かせてしまう人は、中級者でもよく見かけます。
しかし、その間にも、相手はプレッシャーから解放されていることを忘れてはいけません。






