それでもプッシュを打つ相手の黙らせ方

プッシュ

ある日の練習試合、クリス・順平ペアは因縁の相手と戦っていた。

前回、「プッシュの速い相手を黙らせるサーブの裏技」で煮え湯を飲まされた相手は、その欠点をキッチリ修正してきた。

より手ごわくなった相手に、クリスたちはどう立ち向かうのだろうか。

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「うーん・・・まさかここまでとは・・・」


クリスと順平はコートに立ち尽くしていた。

相手は以前戦ったことのあるプッシュが得意なペア。


前回は、相手の速い反応を利用してタッチザネットを誘うことで切り抜けたが、今回はそれも通用しなかった。

どうやら相当練習してきたようだ。


第1セットを落とし、2セット目も劣勢のクリス・順平ペア。

相手のリードでインターバルをむかえ、後半の作戦を話し合う2人。


「さて、どうしようか順平くん。練習試合とは言え、このまま負けるわけにもいかないよね。」

「ですね。」

「それに・・・あの得意げな顔が気に食わないよ、僕は。」


そう言われて相手を見ると、勝ち誇った顔をしていた。

クリスじゃなくても気分が悪い。


「でも、本当にどうします?このままじゃやられちゃいますよ。」

「・・・そうだねぇ。じゃ、もう普通にやろうか。」

「えっ、ちょっと待ってくださいよ。そんなことしたらプッシュ打ち込まれますよ。」

「まあ見てなって。プッシュだけでバドミントンに勝てれば苦労しないってことを教えてやるさ。」


2人の会話はゲーム再開の合図に遮られた。


(普通にやるって言ってたけど・・・クリスさんのことだ。きっと何かある!)


固唾を飲んでクリスのサーブを見守る順平。

バドミントンのセオリーから言えば、ここはロングサーブでプッシュを回避するところだが・・・


だが、順平の予想を裏切り、クリスが放ったのはショートサーブ。

普段より強めに打たれているのはわかるが、それ以外にこれといった違いはない。


(や、やばい!やられる!!)


予想通りプッシュを打ってくる相手レシーバー。

だが・・・飛んできたのは順平の真正面。

しかも、速いことは速いのだが、角度がないため思ったより楽にレシーブできる。


最初は偶然だと思っていた。

だが、同じことはその後も続いた。

着実に拾い、ラリーに持ち込む。


ラリーに持ち込めれば地力で勝るのはクリス・順平ペア。

開いていた点差がジワジワと縮まっていく。

結局、唯一の武器を奪われた相手ペアは、前回同様、なす術もなく敗れていった。


「ありがとう順平くん。しっかりフォローしてくれて。」


そう声をかけてきたクリスと、力強いハイタッチを交わす順平であった。

ポイント

今回のポイントは「あえてプッシュを打たせること」。

プッシュがくるかヘアピンがくるかわからない状態では、迷ってしまい反応が遅れます。

これでは取れるものも取れません。


そこで登場するのがショートサーブ。

ポイントは強く直線的な軌道で打つこと。


ヘアピンやロブでは打ちにくいため、相手はプッシュにいくしかなくなります。

しかも、球が伸びてくるので、縦の角度を付けられず、左右に打ち分けることもできません。

いくら速くても、どこに飛んでくるかわかっていれば取れるものです。


プッシュを封じるというと真っ先に思い浮かぶのがロングサーブ。

しかし、相手もそれを読んでいることが多いものです。

そんな相手の裏をかくためにも、今回のサーブ、覚えておいて損はありませんよ。


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