ダブルスで前衛に入るなら、角度のあるプッシュで確実に決めたいネット際の浮き球。
そして、そのために必ずされるアドバイスが「ラケットの高さを上げること。」
だが・・・その一言がかえってミスを増やしていることは、意外に知られていない。

「だから~、もっとラケットを高く上げるんだって!もっと角度をつけなきゃダメじゃん。」
ありがたい先輩のアドバイス・・・なのだが・・・
腑に落ちてはいなかった。
自分のプッシュに角度が足りないのはずいぶん前からわかっている。
その対策として、「ラケットをもっと高く上げる」こともずいぶん前から意識していたからだ。
より高い位置でシャトルを捉えれば角度のあるショットになる。
そんなことはちょっとバドミントンをやっていれば、小学生でもわかることだ。
それなのに・・・シャトルは思うように飛んでくれない。
そんなある日の昼休み。
コンビニ弁当を広げていると、前衛マエストロこと、元木が声をかけてきた。
「ここ、いいか?」
「あ、はい。元木さん珍しいですね。いつもは外で食べるのに。」
「今月、金欠でな・・・」
他愛ない世間話をしながらの和やかなランチタイムが過ぎてゆく。
練習再開まであと15分というところで、元木が話題を変えてきた。
「順平、最近思い切ったプッシュを打たなくなってきたよな。」
「えっ、あっ、やっぱりわかります?」
「せっかくのチャンスなのにヘアピンに逃げたりして、らしくないぞ。」
「そうなんです。実は・・・」
話を聞き終えた元木は、断りもせずに順平のお茶をグビリと飲んだ。
「ヒジを上げてみな。」
「ヒジ・・・ですか。」
「そう。ヒジを上げればラケットも上がるだろ?」
「それは、まあそうですけど・・・」
「ラケットを上げるのもヒジを上げるのも、結局は同じだろって顔だな。」
「は、はぁ。」
「まぁ、騙されたと思って一度やってみろよ。」
午後から始まったゲーム練習。
前衛に入った順平に、さっそくネット際の甘い浮き球が飛んできた。
プッシュかヘアピンか・・・
一瞬迷った頭に、元木の言葉が浮かぶ。
(ヒジを上げてみな。)
打ち込んだプッシュは、十分な角度とスピードで相手コートに突き刺さった。
久しぶりの快感!
その後も、これまでの不調が嘘のように次々に決まる順平のプッシュ。
ゲームが終わって元木を探す順平。
元木は隣のコートで後輩に何かアドバイスをしていた。
(ありがとうございました!)
心の中で深々と頭を下げる順平であった。
■■■ポイント■■■
シャトルを沈めようとすればするほど力んでしまい、ホームランや打ち損ねを量産。
初級・中級者のバドミントンプレイヤーによくあることです。
実はこの現象は、ちょっとした意識の切り替えで解消できます。
「角度のあるショットを打つにはラケットを上げて、高い位置でシャトルを捉える。」
これは決して間違ったアドバイスではありません。
しかし、ラケットに意識をもっていくと、どうしても必要以上に力が入ってしまいます。
そんなときに有効なのが「ヒジを上げる」こと。
ラケットの位置が上がるという結果は同じですが、より自然でリラックスしたスイングができます。
最近、プッシュが思うように決まらない、と思ったら試してみてくださいね。






