ここ一番で効果的なショートサーブ

ショートサーブ

数あるバドミントンのプレーの中でも、もっとも駆け引きの要素が強いプレーの1つ「サーブ」。

ゲームのスタートを切る第1打ゆえ、プレイヤー永遠の課題である。

順平は今日も、そんなサーブの奥深さを体験することになる。

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「クリスさん頑張って!ここを取ればまだいけます!」


順平は緊張の表情でコートに立つクリスに必死の応援をしていた。


オープン大会の決勝戦。

サーブのクリスこと、クリス花柳のペアは1対1のまま、最終セット終盤にのぞんでいた。

それまで一進一退の攻防を繰り広げてきたが、終盤になり相手の連続ポイントで流れを奪われかけている。


順平は祈るような気持ちでコートを睨んでいた。

きっと、きっと何とかしてくれるはずだ。


ようやくこちらの攻撃が決まり、久しぶりにサーブ権が動いた。

サーブを打つのはクリス。


ここを落とせばもう無理だ。

順平をはじめ、観戦者は直感していた。

サーブを打たなければならないクリスのプレッシャーはいかほどのものだろう。


そんな空気の中、クリスがゆっくりとサーブの体勢に入る。

このシチュエーションでどんなサーブを打つのだろう。

ミスは許されないし、確実なショートサーブだろうか。

それとも、こんな時だからこそロングサーブで相手を崩すだろうか。


「あぁ、甘い!」


順平はクリスの打ったサーブを見て思わず叫んだ。

球足が長いのだ。


いつもクリスが打つショートサーブは、ネットを超えると相手サービスラインぎりぎりにピタリと決まる。

やはりクリスでもこのプレッシャーには勝てなかったのか。


ところが・・・相手はまさかのフレームショット。

力なくネット際に上がった球をキッチリ決めるクリス。


このワンプレーで流れはクリスペアに傾いた。

そして、一気に攻めきって、優勝をもぎ取った。


試合が終わり、戻ってくるクリスに駆け寄る順平。

さっそく、ねぎらいの言葉をかける。


「クリスさんお疲れさまでした。いや~、あのサーブミス相手がミスってくれなければどうなっていたことか・・・」


それを聞いたクリスは、何も言わず、ただニヤリと笑った。

その表情を見て、あのサーブがただのミスではないことを直感する順平であった。

ポイント

一般にバドミントンのショートサーブは、短ければ短いほど良いものとされています。

当然サーバーはそんなサーブが打てるよう練習するし、レシーバーはそれに対応しようと練習します。


だからこそ付け入る隙があります。

短い球足のショートサーブを待っている相手に、敢えて少しだけ長いショートサーブを打つことで、狙いを外すことができるのです。

球足を長くする分、スピードがつきますから不意をつければ強力な武器になります。


ポイントは2つ。


まず、このサーブは決め球として使うこと。

毎回使えば、当然相手も慣れてしまいます。


そして、2つ目はサーブのコース。

球足は長くしますが、高さは通常のショートサーブと同じように低くなくてはいけません。

高いサーブはネットを超えるまでに時間がかかりますから、相手に対応する時間を与えてしまいます。


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