ミスをすれば即失点の現在のバドミントンルール。
大事な局面でのサーブは、失敗すればそれまでの流れを逆転させかねない。
もともとの気の弱さからか、ここ一番というときに弱い順平。
さて、同じように普段決して気の強いほうではないクリスは・・・

付き合う彼女からはいつも「良い人だけど・・・」と別れを告げられてきた、動物占いでは「小鹿」の順平。
もともとの気の弱さから、ここ一番にめっぽう弱い。
これまでの人生も、もっと強引にいけば、プレッシャーに負けなければ、というシーンを何度も体験してきた。
そんな順平の悩みの1つが大事な局面でのサーブ。
日々の地道な努力のおかげで、練習ではかなり精度の高いサーブが打てるのに、本番になるとミスが目立つ。
特に、この1本でゲームが決まる、というような場面では手が震えてくる。
この日のゲーム練習、順平の相手はサーブのクリスこと、クリス花柳。
「花柳さん、今日は負けませんよ。」
「君、失敬じゃないか。エレガントにクリスと呼びたまえ。」
「あっそうでしたね。」
「君はいつになったら慣れるんだ!」
順平に対しては強気な態度を取るクリスだが、気の弱さでは順平と互角。
チーム内でも下の立場にいる。
気の強い後輩のジュースを買いに行くシーンもたびたびだ。
ゲームは一進一退のシーソーゲームであっという間に終盤へ。
あと1点で勝利というシーン。
サーバーは順平、だったのだが・・・
あ、やばい・・・
手のひらに汗がにじみだした。
心臓の音が聞こえる。
ペアの期待と、相手のプレッシャーが、痛い。
ええい、これを取れば勝ちなんだ。
雑念を持ったプレーヤーの打ったサーブが入るはずはない。
ネットに引っ掛けてしまった。
今度はクリスペアのマッチポイントがやってきた。
サーブを打つのはもちろんクリス花柳。
レシーバーは順平だ。
サービスラインぎりぎりにポジションを取ってプレッシャーをかける順平。
軽くラケットを振って威圧も加えた。
運命の1打。
これだけプレッシャーをかけているのだから、後ろに打ってくるだろう。
そう思っていた順平は、見事に裏をかかれた。
こんなに前に詰めているにも関わらず、クリスが打ったのはショートサーブ。
何とか触ることはできたが、すぐにプッシュされ、ゲームはあっけなく終了した。
自信に満ちたクリスの姿は、いつもより大きく見える。
だが練習が終わると、そこにはいつものように後輩のジュースを買いに行く姿があった。
「あれ、本当に同一人物?」
首を捻る順平であった。
■■■ポイント■■■
バドミントンの中でも一番精神的な影響を受けやすいプレーと言っても過言ではないのがサーブ。
特に本番の試合、マッチポイント周辺で打つ場合は、それが結果に直結することもありますから相当なプレッシャーがかかります。
しかし、ものは考えよう。
自分がレシーブミスすればゲームが終わってしまう、このミスで主導権が移ってしまったら、パートナーに怒られる・・・
などなど、プレッシャーがかかっているのは相手も同じです。
そういう意味ではここ一番のサーブは相手が最もミスしやすい状況で打てるチャンスでもあるのです。
自信を持ってのぞんでください。






