サーブリターン 決まるコースのポイント

サーブリターン

社会人バドミントンチームの新人 順平はサーブリターンのコツを掴むため、ミチルの付き人をしている。

口が悪く人使いも荒いミチルだが、学べることは多い。

今日、彼が学ぶのは・・・

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練習の休憩時間。

バドミントン教本を読む順平。

今日は買ったばかりの新しい本を持ってきている。


「効果的なサーブリターンのコースは、相手サーバー正面、そしてサイドギリギリ・・・」


ショートサーブならできる限りプッシュで押しこみ、無理そうなら奥に飛ばす。

そればかりを考えていた順平。

そろそろもっと高度な戦略を取れるようにならないと・・・


「ちょっと新人君!これ、頼んでたジュースと違うじゃない!」


せっかく勉強しているのに・・・邪魔をしてきたのはミチルだった。

順平は今、サーブリターンの達人ミチルに師事していた。

買出しから荷物持ちまで、付き人としての仕事は多い。


(いつも大切な事を教えてもらってるんだ、ガマンガマン・・・)


「すみません、ミチルさん。言われてたの売り切れてて。」

「だったら、外のコンビニに行きなさいよ。」


(お、鬼や、この人。)


ミチルは順平が持っていた本に気づいた。


「あらアンタ。新しい本読み始めたのね。」

「あ、はい。そうなんです。」

「ふーん、効果的なサーブリターンのコースねえ・・・」

「はい。ミチルさんの足を引っ張らないようにしっかり勉強します。」


ミチルは退屈そうにページをめくっていた。

そして本を順平に返すと言った。


「今日のゲーム練習、サーブリターンは全部サーバーに返すわ。」

「いや、ミチルさん。相手が聞いてますけど。」

「構わないわ。どうせ取れないんだから。アンタに教科書だけが全てじゃないって教えてあげる。」


(別に教科書が全てとは誰も言ってないんだけど・・・)


そして始まったゲーム練習。

ミチルのサーブリターンに注目が集まった。

何しろ、体育館中に聞こえる声で、サーバーだけを狙うことを宣言しているのだ。


しばらくして・・・ゲームは順平・ミチルペアのリードで中盤を迎えていた。

ミチルのサーブリターンはいつも以上にすごかった。

ほとんどがリターンエースで、決まらなかったとしてチャンスボールが上がる。


相手だって決して弱くはない。

いくらミチルがサーブリターンの達人だからといって、ここまで決まるものだろうか。

ましてやサーバーに返ることがわかっているのに。


順平がその秘密に気づいたのは、ゲームも終盤に差しかかったときのことだった。

相手はそれまでバックハンドでのショートサーブばかり打っていたが、今回はフォアハンドで打ってきた。


もちろんサーバーにリターンするミチル。

しかし、それまでとは返すコースが違った。


「そういうことか。」


順平のつぶやきに、ニヤリと笑うミチルであった。

ポイント

ミチルさんの秘策はズバリ「サーバのグリップに合わせたコースの打ち分け」です。


バドミントンダブルスのサーブの場合、ショートサーブはコントロールのしやすいバックハンド。

ロングサーブは力の入れやすいフォアハンドで打つことがほとんどです。


ミチルさんは、相手がバックハンドでサーブしたときはフォア側に、フォアハンドでサーブしたときにはバック側にリターンしていたのです。

つまり、逆方向に打つということですね。


相手は、ラケットを持ち替える分、対応が遅れてしまいます。

サーブリターンは、レシーブの準備ができていないサーバーに、至近距離で打つショットですから、かなり有効です。


相手の弱点を突く 相手の嫌がることをする


バドミントンの、そして勝負の鉄則です。


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